ボリュームの多さに少々圧倒されたが、読み進めるごとに、「日本人も捨てたものじゃない」と心地良さを感じた。本書には、幕末から明治時代の初期に、訪日した外国人の手記が紹介されている。

彼らが一番関心を寄せたのは、日本人の美徳だった。日本語の話せない外国人の女性が東北地方を旅行したとき、地元の住民が快く受け入れてくれた話などが紹介されている。しかしながら、近代化の過程で、日本人の心のあり方は変わってしまった。

折しも、本書を手にしたのは、ブータン国王夫妻が来日された頃で、当時の日本と現在のブータンの状況が重なった。経済的には貧しいが、日本の庶民が幸福な暮らしをしていたことが窺える貴重な一冊である。

【関連記事】
「日本は均質」「東京が中心」は思い込み
日本人よ、寝食を忘れて猛勉強せよ!
あるべき日本の姿は「モノをつくる人々」
「東京駅丸の内駅舎」大正時代の装い復活
「心から泣ける、腹から笑える」古典&傑作