マネジメントスキルを上げる
ある意思表明をすることや、自身で仕事上の判断をすることによって得られる果実を「決断経験値」と呼んでいる。その値が高いほど若手でも抜擢されるわけだが、そのために役立つのが読書である。
私は毎月10冊以上のビジネス書に目を通している。決断の質を上げるには日頃から自分自身の考えを明確にし、行動の選択肢を増やしておくことだ。それには、特に経営者が書いた本が役立つ。自分の経験に基づいて判断をしているとどうしてもワンパターンになるが、本を読ば「こういう場面でこんな決断を下すのか」と気づかされるとともに、イメージトレーニングもできるからだ。
私の読み方には3つのルールがある。1つは最初から全部を読まないこと。全体をざっと斜め読みし、おもしろそうな個所があったらそのまま読み込み、場合によっては線を引く。1時間経ったらやめ、精読に値するかを判断する。YESだったら何時間かけても読み進み、NOなら誰かにあげてしまう。管理職はただでさえ忙しい。本に呑まれず、自分の可処分時間を常に意識すべきだ。
2つめは読んだ本の感想をブログに書くこと。文字にすることで内容を血肉化できる。最後は本に書かれている内容を1つだけ真似すること。ある経営者が「捨てることメモ」をつくっていると書いていたら自分もつくってみるというように、1冊から1つの行動を生むことを心がけている。本は知識を得るためではなく、行動と決断の質を上げるために読むのである。
とはいえ、本だけに頼ると頭でっかちになりがちだ。そこで重要なのが人から学ぶことだ。それも自分よりポジションか経験が上の人がいい。私の場合は社外にも尊敬できる先輩が何名かいて、時にはダメ出しもしてくれる。とはいえまずは同じ会社の他部署の先輩をお勧めしたい。面識がない場合でも、「○○さんの仕事術が知りたいので、ぜひご一緒させてください」とランチに誘えばほぼ叶うはずだ。
※すべて雑誌掲載当時
1974年、神奈川県生まれ。上智大学文学部卒業後、伊勢丹を経て、99年サイバーエージェントに入社し、2005年同社人事本部長就任。08年より現職。著書は『サイバーエージェント流 自己成長する意思表明の仕方』。