ビジネスマンに必要なユーモアとは何だろう。商談中に爆笑をしてもらう必要はないが、相手との距離を縮めたり、よい空気をつくりたい。心をくすぐる程よいスパイス加減とは。各界の先達たちの言葉からそのあり様を探った。
元サントリー会長 佐治敬三(PANA=写真)

ビジネスマンにとって、ユーモアとは人を笑わせることではない。ビジネスマンは芸人じゃないから、ウケを狙ったり、商談中に爆笑してもらわなくともいい。しかし、だからといって、謹厳実直、四角四面の人間を目指せとも言いたくない。

私が直接会った経済人のなかで、ユーモアの価値をよく知っていると感じたのがサントリーの佐治敬三である。彼はウイスキー事業を拡大させ、ビール事業に参入し、フランスのグラン・クリュ・シャトーを買収し、サントリーをウイスキーメーカーから総合飲料企業へ脱皮させた。