日経平均を最も動かす銘柄になっている

このユニクロの企業価値創出力No.1を物語るエピソードとして、ユニクロは日経平均を最も動かす(寄与度が最も高い)銘柄になっているということがあります。図表2は2024年3月に日経平均が4万円を突破した直後の日経平均寄与度トップ5企業を示したものですが、ユニクロが10%強で1位になっています。今はAI(人工知能)ブームもあり、半導体関連の銘柄が全体を動かす傾向にありますが、そうした中でもユニクロの寄与度がAI関連銘柄を抑えてトップになっています。「日経平均はユニクロ平均」ともいわれるほどです。

ちなみにユニクロのPBR6倍超(7倍を超すことも最近はあります)は、日本企業においてトップクラスであるだけでなく、図表3に示したGAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)と比しても、Appleの50倍超は別格としても、Googleを上回り、Facebook(現Meta)やAmazonとは遜色ないPBRであり、企業価値創出力は世界で見てもトップクラスにあります。

強みの根源は「柳井さんの強烈なカリスマ」とは真逆のところにある

では、なぜ、ユニクロはこのような企業価値創出力No.1の経営が実現できているのでしょうか。おそらく、「創業者の柳井正さんがすごい」「柳井さんのカリスマ性によるものでは」と感じている人が多いのではないでしょうか。確かに柳井さんは、日本の産業史に名前を残す人でしょう。実家の山口県の小さな洋服店をグローバルレベルのSPA(製造小売業)に育て上げることは、柳井さんでなければできなかったはずです。

ユニクロの登場以前は商品の企画・生産・流通在庫に一気通貫で責任を持つ企業は日本には存在しませんでした。日本のアパレル業界はユニクロ以前と以後に明確に分かれます。

ただ、同社で柳井さんに直接仕えていた(そして怒られまくった)私からすると、ユニクロの強さは、柳井さんの強烈なカリスマによるトップダウンによるもののみではありません。むしろその真逆のところにあります。