「ザイオンス効果」で親近感を育てる
本当に1人が大好きで、「むしろ誘われない方が気楽だから、ちょうど良い」という考え方もありですし、それなら話は別です。ただそうではなく、確かに1人でいたい時もあるけれど、そうでない時もあって、できれば生まれてしまった距離感を縮めたいということなら、一気になんとかしようとせず、まず日常的にこちらから少しだけ関わりを増やしていくのがおすすめです。
心理学の理論に、「単純接触効果(ザイオンス効果)」というものがあります。これはアメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱したもので、何度も目や耳にしたり、触れたりしているうちに、だんだんとその対象に対する警戒心が薄れ、親しみや親近感を感じるということです。
たとえば何度も聞いているうちに好きになった曲や、いつも同じ場所で見かけることでなんとなく親近感を覚えたりした人はいませんか? 特別なことがなくても、ただ目や耳にすることが重なるだけで、好意的な感情が生まれることがあるのです。
特に、まだお互いに良く知り合っていないうちは、当然ながら接触回数も少なくなります。そのままでは不安や警戒心が拭いきれないために、ちょっとした行き違いがあるだけで、お互いに過度な遠慮が生まれたりして、距離感は開く一方になりやすいのです。
だからこそ、開いてしまった距離感を埋めるためには、あれこれ悩むより、意識的に少しだけ接触を増やすようにすることが効果的なのです。
「頼みごと」で距離感を縮める
軽く挨拶を交わしたり、近くを通って会釈をしたりするというのでももちろん良いのですが、距離感を縮めるには、“頼みごとをする”というのが、さらに効果的です。
人には自分を認めてほしいと思う「承認欲求」が根底にあるため、頼られることで必要とされていると感じます。そこで、相手からの頼みごとに手助けをすると、“私はこの人のことが好きだから手を貸したのだ”という気持ちが生まれ、相手のことを好ましく思うことがあります。これは心理学で「認知的不協和理論」と呼ばれています。