植田総裁も石破総理も、利上げに踏み出せない状況に

ひとことで状況をまとめると、日銀の植田総裁も、石破総理大臣もどちらも本当は利上げが必要だと考えている一方で、当面はそこに踏み出すことができない状況に陥ってしまったということです。ですからこの先、1年くらいの間は政策金利が大きく上がることはないでしょう。せいぜい0.5%の壁を意識しながらその直前ぐらいまでの小幅な利上げでお茶を濁すことになると考えられます。

日銀の植田総裁(左)と握手する石破首相=2024年10月2日午後、首相官邸
写真=共同通信社
日銀の植田総裁(左)と握手する石破首相=2024年10月2日午後、首相官邸

問題はその後です。低金利を放置している限り、悪い円安のリスクが常につきまとい、結果として悪いインフレが起きます。賃金上昇以上に生活費が上昇して、実質賃金が下がってしまいます。ですから「選挙」や「支持率」をそれほど気にしなくてもよくなった時、具体的には来年の参院選の後、政治が落ち着いたころに、再び「金利が上がる世界」が現実になってくるというのが冒頭の予測です。