栄さんは2年前に亡くなったご主人と、人生の大半をこの物件に過ごしてきました。間取りは、最近では少なくなった2K。6畳の畳部屋と4畳半の板間、古い流しがつき、その横に玄関扉があります。トイレと風呂場は分かれていましたが、浴槽は小さく今時見かけることが珍しくなったバランス釜。典型的な昭和の時代のアパートでした。

家賃は共益費を入れて4万1000円。この半年ほど払いが遅れ気味で、滞納額は15万円を超えていました。預貯金が底をつき、年金だけでは払っていけなくなったのでしょう。

呼び鈴を鳴らすと、室内から人が動く気配がします。ようやくドアがゆっくりと開き、私は栄さんと対面することができました。栄さんは70代後半ですが、身なりを構っていないからなのかもっと老けて見えます。足が悪いようで、膝を押さえながら体を支えていました。