ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんは2月、トランスジェンダーの男性(戸籍上は女性)と入籍した。2人は「ゲイカップル」として夫婦になった稀なケースだという。ドリアンさんはなぜ結婚という選択をしたのか。元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円さんとの対談をお届けする――。

※本稿は、YouTubeチャンネル「Bring.」の動画《「幸せ」を考える。人間関係/結婚・家族観/ネガティブ感情・孤独への向き合い方…》の内容を再編集したものです。

結婚式で手をつないで赤いバラの花を持つ幸せな男性ゲイのカップル
写真=iStock.com/dolgachov
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ネガティブ感情への対処法

【澤円】自分の考えや価値観などに自信が持てない人が多くいます。特に職場では、周囲と自分を比較して落ち込んだり、「どうせわたしは……」とネガティブに考えてしまったりする人もいます。そういった自分へのネガティブ感情をうまく扱う方法があれば、ぜひ教えてください。

【ドリアン・ロロブリジーダ】もちろんわたしも自分に対するネガティブ感情を抱くことはたくさんあります。

まず前提として、ネガティブ感情って必ずしも悪いものではないと思うのです。よく考えてみてください。自分に対するネガティブな感情が一切ない、「わたしは完璧な人間だ」「わたしは一切間違っていない」という自信満々の人ってちょっと怖いですよね? 「自分はこういうところが駄目だ」「こういうところが足りない」といったネガティブな感情が成長を促してくれる側面もあるはずです。

【澤円】でも、そのネガティブ感情の扱いを間違って、「刃」のようなかたちで自分に向けてしまうと……?

【ドリアン・ロロブリジーダ】なんらかの対処が必要ですよね。自分自身をどんどん傷つけてしまうのですから、幸せが遠ざかっていくのは目に見えています。そういった人に必要なのは、そのネガティブな思いが真実なのかどうかを冷静に整理することでしょう。

「自分はこういうところが駄目だから、周囲とうまくいかない」などと思っていても、それが勝手な思い込みだという可能性だってあるはずです。あるいは、たとえ思い込みではなかったとしても、自分を観察して客観視することにつながります。

「穴の中にいると気付いたら、せめて穴を掘り続けるのはやめなさい」

そのような人にお伝えしたいのは、わたしが若い頃に働いていたゲイバーのママの言葉で、「穴に落ちていると気づいたんだったら、せめて穴を掘り続けるのはやめなさい」というものです。自分を客観視した結果、自分のマイナス面に気づいたのなら、それ以上自分を責めることだけはやめたほうがいいということですね。

もちろん、その穴からはい上がるにはまた別の方法が必要だとは思いますが、少なくとも自分をさらに傷つけることは避けることができます。