「長生きしちゃうかも……」という幸せな不安

【澤円】いまは、「VUCA」の時代と呼ばれるように、先が見通しづらい世の中です。多くのビジネスパーソンがお金やライフプランなどに関する不安を感じているようです。ドリアンさんは、そうした将来への不安を感じることはありますか?

【ドリアン・ロロブリジーダ】もちろんありますよ! こんな根無し草のような仕事をしていて不安を感じないわけがありません……(苦笑)。ただ、心配したって不安が現実になることもあれば、そうならないことだってあるわけです。だから、「起こったことは仕方ない」と思って日々を生きるしかないですよね。

例えばお金のことが不安であれば、「NISA」を活用してコツコツと投資をしていくこともできるでしょう。でも、いつ天変地異や紛争が起きるかなんて誰にもわかりません。不安を抱えるなかでも、それこそ「どのようにしてご機嫌に生きるのか」と今日にフォーカスして、1日1日を積み重ねていくほうが大切だと思うのです。

ただ、わたしの場合、会社員時代と比べてはるかにストレスフリーな生活を送れています。不確実な仕事や生き方を選択したのに、ストレスが減ったことで「どうしよう、長生きしちゃうかもしれない……」という不安も持っていますけどね(笑)。

写真=石塚雅人

あなたはもう「幸せ」

【澤円】(笑)。ドリアンさんにとって、幸せの基準とはどこにありますか?

【ドリアン・ロロブリジーダ】幸せの基準というのは、下げれば下げるほどいいのではないでしょうか。「これがないと幸せではない」「こういう状況でないと幸せではない」と幸せの基準をどんどん上げていくと、自ら幸せを遠ざけることになってしまいます。

それこそ、朝起きて綺麗な空気を味わうことだって幸せではありませんか? 様々な理由から、幸福を感じにくい状況の方がいることは理解しています。でも、あまりに劣悪な状況でない限り、あなたはもう「幸せ」なのです。小さなことに「ああ、幸せだな」「今日もいい1日だったな」と思えるくらいの基準にしたほうが、人生が幸せに満ちていくのだと思います。

(構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)
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