夫との関係も良好なのに「ダメな妻だ」と落ちこんでしまう

税理士事務所で着実にキャリアアップしてきたAさんですが、自分の仕事のせいで夫にはずいぶん迷惑をかけている、とも話してくれました。

話を聞くと、会社員の夫との夫婦仲はとてもよさそうです。でも、Aさんの帰宅が遅く、夕飯を1人で食べてもらうことも多いので申し訳ないと言います。「私は料理もうまくないですし、妻としてもダメなことばかりなんです」と言うので、「ご主人から不満を言われたりするのですか?」と聞くと、「それはないです。いつもワンパターンなメニューでごめんね、と言うと、そんなことないよ、おいしいと言ってくれるのですが、本心は我慢していると思うんですよね」とのこと。

台所で料理
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

常に申し訳ないという気持ちがあることから、夫にはこれ以上甘えられないと言います。

おふたりの間にお子さんはいません。

「いずれ子どもは欲しいのですが、せっかく今の役職についたばかりなので、仕事を休むのは不安が大きいんです。それに料理をする時間も足りないぐらいなのに、子育てなんでできると思えないというのが本音です」

子どものことについては、夫とじっくり話すことをなんとなく避けている、と言います。

「友人夫婦に子どもが生まれると、その写真を見てかわいいねと言っています。本当は私に仕事をやめてほしいのではないでしょうか……」

ネガティブを生み出す「思考の癖」10パターン

1つの出来事があった時、その受け止め方は人によって異なります。しかし、人によっては過剰に不安になったり、ネガティブな感情を抱いてしまったりします。これはベースに非理性的で感情的な考え方や、自分や周囲に対する偏見があるためで、これを心理学では「思考の癖」とよびます。否定的な自動思考、認知の歪みなどとよばれることもあります。

思考の癖には次の10パターンがあります。

(1)全か無か思考
物事を白か黒かで考えてしまう。

(2)一般化のしすぎ
たった1つよくないことがあると、世の中すべてそうだと考えてしまう。
<例>自分の子どもが不登校になったら、子育ては失敗したと決めつける。

(3)心のフィルター
1つのよくないことばかり何度も考えてしまう。

(4)マイナス化思考
よい出来事を無視してしまう。

(5)結論の飛躍
根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう。

(6)拡大解釈と過小評価
自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価する。

(7)感情的決めつけ
理性的にものごとを評価せず、自分の感情で評価してしまう
<例>自分が嫌いな人は、まわりの人もきっと嫌いだと思ってしまう。

(8)すべき思考
何かをするときに「~すべき」「~すべきではない」と考え、そうでないと罰でも受けるかのように感じてしまう。

(9)レッテル貼り
「自分はダメ人間だ」のように極端な形で一般化してレッテルを貼ってしまう。

(10)個人化
よくないことが起きると何でも自分のせいにしてしまう。