「この深い世界を知っているのは自分だけ」と思えるか

好きな世界を探訪するのは、たとえるなら、

「自分が深海魚になって、ほかの誰も見たことのない深い海のなかの景色を見る」

というようなイメージです。

自分だけが見ているという特別感と、格別の心地よさが味わえます。

ぼくは中高生のころ、図書館に通っては、そういう深い世界にひたる喜びを感じていました。

本を読む男の子
写真=iStock.com/Jasonfang
※写真はイメージです

図書館にはかならず、「この本は誰も読んでいないんじゃないか?」と思える本が何冊かあります。ほこりをかぶっていて、本自体もしょうゆがしみたような茶色に変色していて……。ぼくはなぜか、そういう本に引きつけられるのです。

「海の浅いところを泳いでいる、わりととりやすい魚よりも、深い海にいるかもしれないきれいな魚を求めたい」

というのにも似た気持ちがあるのです。

そうやって見つけた本を読みながら「この深い世界を知っているのは自分だけかもしれない」と思うと、気持ちが上がっていくのを感じます。

こんなふうに自分の世界をつくっていくと、そこが「心の居場所」になります。人のことが気にならなくなるのです。

嫉妬心との正しいつき合い方

人と比べるのがよくないもう一つの理由は、とくに自分のほうが劣っていると感じた場合に嫉妬心が生まれてしまうことです。

たとえば自分が好意を持っている人に好きなタレントがいたとします。たんなるあこがれにすぎないのに、そのタレントに嫉妬する人がいます。

「あの人かっこいいよね」とか「あの子かわいいよね」とその人がいっただけで、自分がないがしろにされたように感じるのかもしれません。でも、そこでそのタレントについて、

「全然イケメンじゃないじゃん。どこがいいわけ?」

とか、

「メイクが上手なだけでしょ。性格、悪そうだし」

などといってしまうと、そこに険悪な空気が生まれます。

そういうときは、

「たしかに! いいよね」

というだけでいい。

そういってしまえば、自分も気がラクになるし、逆に「わかってくれている」と、相手によく思ってもらえます。

ムダな嫉妬心が生まれそうになったら、一緒にほめちぎりましょう。

「ダンスもうまいし、最高!」
「こないだのドラマの役、ぴったりだったね」

といった具合に。

嫉妬心や妬みの感情は、心を疲れさせるもの。大きくならないうちに、相手をほめちぎってそれらの感情を追い出してしまうのがベストです。

「嫉妬心がある」ことを自分で認め、むしろほめてしまう。これが嫉妬という怪物を退治する方法です。