飲みすぎると事件が起こる

飲む量が増えると、お酒でのミスも増えた。特に、飲んだ帰りの電車では苦労をした。飲んだときに電車で乗り越したり、終点まで行ってしまったりすることは、誰でも一度は経験があるだろう。ただ、私の場合は何度もあるのだ。いったん座ったら終わりで、眠り込んで終点までいってしまうことが多々ある。

ビルの谷間でこうなる
出所=『イラスト日記 ゆるして!糖尿病』(主婦の友社)

あるときは、渋谷から浅草まで電車に乗ったはずが、起きたら最終列車が渋谷駅に着いたところだった。渋谷からなら、タクシーで帰宅することもよくあるのだが、その日はグデングデンに酔っていて、今にも寝転びたい衝動に駆られてフラフラと駅を出た。

すると、目の前のビルのすき間に段ボールが敷かれているではないか。私はそこにバタッと横になり、朝までそこで寝てしまったのである。誰が段ボールを敷いたのかはわからない。毛布も置かれていた。ちょうどマンガ雑誌も転がっていたので枕にして寝た。

またあるときは「浅草駅」にたどり着くはずが、気がついたら「高尾駅」だった。折り返す電車はない。駅の周辺で24時間営業のファミレスなどがないかと探すが、一軒もない。

塚本やすし『イラスト日記 ゆるして!糖尿病』(主婦の友社、監修:白澤卓二)
塚本やすし『イラスト日記 ゆるして!糖尿病』(主婦の友社、監修:白澤卓二)

タクシーで帰宅するにも、高尾からだとさすがに料金が高い。しかたなく、トボトボ歩いていると3分間写真のボックスがあった。私はその中に入りイスの高さを調整し、カーテンを閉めて熟睡した。朝起きて記念に写真を撮って帰った。

迷子になることもあった。近眼なのでメガネをかけているのだが、飲んでいると酔ってはずすことがある。たいがいはカバンの中やポケットの中に入れるのだが、酔った私には探す能力がもはやない。

裸眼のまま店を出ると、目の前はホワイトアウト状態で1m先が見えない。そのせいで、なかなか駅にたどり着けないのである。そんなときは、公園のベンチで寝てしまうこともあった。たぶん、そんな酔っ払いが多かったのだろう。今の東京の公園のベンチは、寝られないように工夫がしてあることを知っている。

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