下着を見せる女性の人形をカンヌへ送り込んだ日本
世界3大映画祭のなかでもより品格を重視するカンヌ国際映画祭で、2015年にクールジャパン戦略の一部として経産省のコンテンツ海外展開促進事業が映画にはまったく関係ない、熊本県PRマスコットキャラクター「くまモン」を送り込んだのを覚えている人もいるだろう。
実は、この年に送り込まれたのは、くまモンだけではなかった。「カンパイ・ナイト」と称した日本パビリオン主催のパーティーでは、「美少女アンドロイドASUNAちゃん」や「コップのフチ子」という人形が展示されていたと、映画プロデューサーのヒロ・マスダさんが著書『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』(光文社新書)の中で記している。
美少女アンドロイドは「私は顔しかないので、将来の夢はセクシーボディを手に入れること」と謳い、「コップのフチ子」は短いスカートの事務制服を着た女性キャラクターが、逆立ちや開脚をして下着を見せている人形だったそうだ。ちなみに、この玩具は2018年に内閣府知的財産戦略推進事業局が取りまとめたクールジャパン戦略資料のなかで紹介されていることから、政府を挙げて宣伝をしている商品だと言えるだろう。
食、アニメ、ポップカルチャーなど「クール(かっこいい)」と捉えられる日本の魅力を世界中に広めていこうと、国策として進められている「クールジャパン」戦略。なんと、クールジャパン戦略の一環である官民ファンドのクールジャパン機構の累積赤字は356億円に達しているという。赤字を出し続けているクールジャパン機構はカンヌ事業とは関係ないが、世界各国の文化人が訪れるカンヌ映画祭で女性蔑視的な商品を展示するという失態を演じたのはお粗末な話だ。
そんなボロボロのクールジャパンを、日本政府は今年の6月にリブート(再起動)すると発表したのだが、大丈夫なのだろうか。