企画は1枚の紙に文章でまとめて上司に見せます。本当に伝えたいことは紙1枚で十分。ここに上司を納得させられる要素をどれだけ詰め込めるかが勝負です。上司の先に意識しているのは観客です。観客はちょっとした記事や広告で、その映画を観るかどうか判断する。1枚の企画書で上司を説得できないなら観客を映画館に呼ぶことは無理だと思っています。

そして企画を通すときは、それだけに捉われないようにしています。私のゴールは企画を通すことではないし、上司のゴールも部下の企画を却下することではない。上司も部下も、おもしろい映画を作ってヒットさせることが共通のゴール。そう考えれば、実は双方の間に言いにくいことなど、本来存在しないのかもしれません。むしろ言いにくいことこそ相談したほうが得。最終的なゴールを共有しているからこそ、「どこが弱いんだろう」「何が足りないんだろう」と相談を重ね、上司からヒントをもらえるのです。

失敗を報告するときもタイミングは選びますが、率直に言ってしまいます。報告を先延ばしして抱え込んでいるとストレスになるし、ほかの行動にも悪い影響が及びますし、何より時間の無駄です。

上司とのコミュニケーションのカギは想像力だと思います。ちょっと想像力を働かせれば、チームの最終ゴールから考えて、進行を遅らせても今すぐ伝えるべきなのか、それとも機会を選んで伝えたほうがいいのか、おのずと見えてくるはずです。

想像力をさらにたくましくして、3年後、5年後に自分が上司の立場になったら、どう見るだろうかと考えることも大いに役立つのではないでしょうか。