衰退が目に見えている企業は長期間保有すべきでない
このS&P500型ETFのメリットをTOPIX型ETFと比較しておきたい(図表4)。なお世界株価指数型ETFは両者の中間にあるだろう。というのも世界株価指数に占めるアメリカ株のウェイトが非常に大きいからである。
この比較表に掲げたような理由に基づき、筆者はTOPIX型ETFを保有していない。日本については、選別した比較的少数の企業の株式を用いつつ、個人資産を運用している。
CAPMの理論はパッシブ運用を推奨しているものの、それは企業が合理的に活動しており、かつ投資家の多様性が確保されている市場において成立するとの前提がある。
裏側から見てみよう。パッシブ運用において、TOPIX型ETFのように、上場されている全企業を保有する理由はどこにあるのか。
長期運用においては少なくとも、業績がピークを迎え、長期的には衰退するかもしれない企業は排除すべきである。
その企業が証券市場に上場されているという理由と、CAPMが市場のすべての保有を推奨しているという理由だけで、たとえば衰退が目に見えている企業を長期間保有しようとするのは、家元であれば何でも奉ることに等しく、きわめて日本的である。形式主義でしかないと考えている。
※本書の内容は、特定の株式の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。
最終的な投資の決定は、ご自身の判断と責任で行ってください。