病気同様に、目のほとんどのトラブルにも遺伝が関係しています。遺伝が関係ないと断言できる目のトラブルは外傷のみです。そのくらい遺伝の影響があるものの、親が近視だからといって子どもが必ず近視になるわけではなく、やはり環境要因にも左右されます。

もともと近視の素因があるにもかかわらず、ゲームや漫画ばかり近距離で見たり読んだりしていれば近視を発症しやすくなるのは当然ですよね。

ただし、遺伝的になりやすい不調を知っておくことは、目のトラブルに先回りして効果的に対処できるため、とても大切なことです。たとえ親が近視でも、日常生活を見直すことで近視を悪化させないようにすることも可能だからです。予防することもできるので、遺伝だからと諦めずにいてください。

今の見えづらさは、「緑内障」「白内障」につながる

「手元が見えにくい」「目の疲れがとれない」「ぼやけて見えるようになった」など、40代以降になると、さまざまな目の不調を自覚しやすくなります。

40代でも近視が進んでしまう人もいますし、老眼を認識し始める人もいるでしょう。また、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスの多用により、眼精疲労やドライアイに悩む人も多いはずです。

さらに、40代以降で特筆すべきトラブルに、緑内障や白内障、黄斑変性があります。

緑内障は40代、白内障は50代、黄斑変性は60代頃から特にリスクが高まるといわれており、緑内障の場合は40歳以上の20人に1人がかかるといわれているため、この時期から検診や目のケア、生活習慣の見直しなど、発症リスクを下げる対策をとっておくことがとても大切です。

また、もっとも症状を自覚しやすい老眼は、実は未完成の時期で、70代頃まで進行は止まりません。「夕方になると見えづらい」「週末は見えやすい」など、目を酷使した後に顕著に不調が出やすくなります。

若年層であれば、一時的な「目の疲れ」でやり過ごせていたものが、40代以降ではそれが手元の見えにくさといった症状として現れやすくなり、生活に支障をきたすようになるのです。

老眼は徐々に手元が見えにくくなっていきますが、急激な視力低下は緑内障や黄斑変性といった失明にもつながる深刻な病気のサインである可能性もあるため、「見えにくい=老化現象」と決めつけず、セルフチェックや定期検診を欠かさないことがこの年代にはとても必要なことです。