軍用地投資における4つのメリット

僕が注目した軍用地の利点は、次の4つです。

①借り手が国(防衛施設局)のため、安定的な収入が得られる
②借地料は毎年、着実に値上がりしている
③長期的な収益が見込める
④沖縄の金融機関では、軍用地の担保価値を高く評価している

沖縄の不動産会社の話によると、軍用地の価格は、一般的な土地のように、「坪単価×坪数」で計算するのではなく、「年間借地料×倍率」という特殊な計算方法によって算出されるといいます。

倍率とは、軍用地の場所によって決められる係数のようなもので、米軍から返還の見込みの少ないエリアは倍数が高くなり、返還が予定されていたり、借地料が上がらないエリアの場合は低くなるのが一般的だそうです。

地主さんたちの話を総合すると、「軍用地の利回りは2~3%前後だろう」ということですから、僕がやっている山投資や家投資の「利回り80%から100%以上」と比べると格段に低くなりますが、安定的で着実に借地料が値上がりしていることは、他にはない一番の魅力です。

僕は地主さんに、「すごく興味があります。もう少しだけ考えさせてください」とお願いして、軍用地の情報を調べることにしたのです。

手放す人が少ないため「レア物件」と考えられている

沖縄の不動産会社や、実際に軍用地を持っている地主さんたちに話を聞いて回ると、軍用地の輪郭が徐々に浮かび上がってきました。

注目ポイントを整理すると、次の5つとなります。

【注目ポイント①】軍用地を買っても、立ち入りや活用はできない

日本にある軍用地の約75%が沖縄に集中しており、その大半を米軍基地が占めています。

米軍基地内は立ち入りができませんから、軍用地を買っても、それを何かの目的に活用することはできません。

警告看板が設置された米軍基地のフェンス
写真=iStock.com/powerofforever
※写真はイメージです

基本的には、毎年、少しずつ上昇している借地料が利益となります。

【注目ポイント②】利益が見込めるため、手放す人が少ない

沖縄の軍用地は安定的な利益が見込めるため、その権利を手放す人は少なく、投資の世界では「レア物件」とされています。

軍用地を手放すのは、マイホームの建築や子どもの学費など、急に現金が必要になったケースに限られるため、基本的にはローンではなく現金での売買となります。

【注目ポイント③】軍用地には軍事とは無関係な土地もある

沖縄の軍用地の多くは米軍基地や施設内の土地ですが、自衛隊の施設として使われている土地も対象になっており、「那覇空港用地」のような表向きは軍事とは関係のない土地も軍用地に含まれることがわかりました。

【注目ポイント④】借地料は地目により単価が決められている

国が地主に支払う借地料は、「山林」や「原野」、「宅地」などの地目によって決まっています。

宅地の場合も「宅地見込地1」とか「宅地見込地2」などと段階が分かれており、地目や段階に従って単価が決められ、「単価×面積」という計算によって借地料が支払われているようです。

【注目ポイント⑤】伸びシロが大きい「宅地見込地」が一番人気

「宅地」と「宅地見込地」というのは、地目としては同じですが、借地料は宅地の方が高くなり、宅地見込地は低くなります。

この違いが、売買されるときには大きな差となって現れます。

軍用地の価格は、「年間借地料×倍率」という計算で決まりますから、借地料の安い宅地見込地の方が価格が安いため、将来的に宅地に格上げされれば、値上げ率は格段に高くなります。

安い価格で手に入り、伸びシロが大きいという理由で、宅地見込地が一番人気となっているといいます。

沖縄の軍用地というのは、ある意味では、第二次世界大戦の「爪痕」といえるものですが、島投資の視点で見ると、地域や土地が限定的だからこそ高値で売買され、それを持ち続けている間は借地料が支払われる……など、非常に魅力的な要素であることは間違いありません。

沖縄に昔から住んでいる地主さんが、「キミなら売ってもいいよ」というのですから、僕には断る理由がありません。

ごく自然に、「この話に乗らない手はないな」という結論に達しました。