「エコシステム」を破壊したのは正しかったのか

Twitterの投稿は基本的に全てがオープンですから、たくさんの人たちが思い思いに使うことで、新しいヒトモノカネを持続的・循環的に巻きこみながら拡散していく。こうして、Twitterというサービスを中核にした「エコシステム」が形になっていくわけです。

笹本裕『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)
笹本裕『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)

この状態をしっかり築くためには、ユーザー一人ひとりはもちろん、プラットフォーム上で広告を出そうとする広告主や代理店、研究・公的機関といった、様々な集団との関係を維持しつづけることが大切になります。各関係者がそれぞれの関わり合い方をしているわけですから、何かを変えようとするときにも、全員との調整が必要になる。

しかし、思い描くゴールに最短距離で向かいたいイーロンにすれば、こうしたものも「しがらみ」にうつったのかもしれません。彼がそうした結びつきを容赦なく破壊したり、毀損させたりすることは、短期的には正しいとは思えませんでした。

しかし、いま過去を壊すことで、将来新たな革新的なものを築けるかもしれない。成功するためにそれが正しい判断だったかは、未来になってみないとわからない。とりあえず今は彼があまりにも速いスピードで未来の成功に向かって突き進むものだから、まだ成否を語るには早すぎるのでしょう。

【関連記事】
愛想を尽かしたイーロン・マスクは自宅ごと移住…米大企業が「トランプが支配する田舎州」に続々移転する理由
刃向かった部下を部署ごと消し去る…イーロン・マスク「突然のリストラ宣言」が物語るカリスマ経営者の限界
「確トラ」を阻止したいGAFAM対ハリス嫌いのイーロン・マスク…米巨大IT企業で"仲間割れ"が起きているワケ
このままでは豊田章男氏でも「トヨタ潰し」を防げない…ホリエモン「今のトヨタに必要なたった一つのこと」
なぜ孫正義社長は「すぐ電話をかけてくる」のか…仕事がデキる人がメールより電話を多用する本当の理由