「サイレントキラー」の初期症状はうんこに現れる

大腸には痛覚がないため、早期の大腸がんにはほとんど自覚症状がありません。悪化して、腸が完全に閉じるくらいまで症状が進んでしまうとお腹が苦しくて痛みも出てきますが、初期状態では痛みが出たり、体重が急激に減ったりというわかりやすいサインがありません。

自覚症状が出た頃にはかなり進行していて、治療ができない状態になっている、というのが大腸がんが「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。

そこで重要になってくるのが「うんこ」です。なぜなら、大腸がんの初期症状は「うんこ」に現れるからです。

大腸がんになるとがんが大腸の中で大きくなっていくため、大腸の内腔、つまりうんこの通り道が狭くなっていきます。うんこがどんどん細くなり、通りにくくなってくると、水状の下痢便だけが通過し、少しあとに形のある便が通過するので、下痢と便秘を繰り返すことがあります。

これまでは定期的な排便があり、さらに食生活の変化など思い当たることもないのに継続的に下痢と便秘を繰り返すようになった場合、大腸がんを疑ってみてもいいでしょう。

また、がんはとても弱い細胞でできているため、うんこが通過する際に細胞が壊れて少し出血することがあります。

患部が肛門に近い場合、赤い血が認められるので出血に気づきやすいのですが(ここで「痔かな?」と勝手に判断してしまうのは厳禁です!)、直腸から離れた場所での出血は黒っぽく変化し、うんこに混じってしまうことが多いので、自分の目で見てもわからないことがほとんどです。

トイレットペーパーのロールを片手にお尻をおさえる男性
写真=iStock.com/yanyong
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大腸がん検診で行われる便潜血検査、いわゆる検便は、この微量な血(便潜血)を検出することが目的です。

40代になったら、少なくとも年一回は便潜血検査を

自治体が行う対策型の大腸がん検診は一次検診で便潜血検査を行い、そこで便潜血があれば、精密検査を行うのが通常の流れです。

大腸がんの罹患率は40歳を超えた頃から少しずつ高くなっていくので、40代になったら、少なくとも年一回は便潜血検査を受けるのが大腸がん死を減らす第一歩です。

便潜血が陰性だった場合は、かなりの高確率で「大腸がんではない」というデータが出ています。検便は自宅で簡単にできる検査なので、それによってまずは「ない」ことを証明できるのです。ぜひ、面倒くさがらずに受けてほしいと思います。

実際に、便潜血検査を毎年受診した場合には33%、2年に1度の受診でも13〜21%、大腸がん死亡率が減少することがわかっています。

そして、便潜血反応が陽性だった場合には、必ず精密検査を受けてください。日本ではそもそも便潜血検査を毎年受けている人が少ないうえ、そこで異常が見つかっても「内視鏡検査は怖いから」とか「痔を患っているからそのせいだろう」などと、そのままにしてしまう人が多いのです。