パニック状態は去ったが…

次に過去最大の上げ幅になった理由ですが、これは売りが集中してほぼ全面安になったところで、今度は大勢が買いや買い戻しに走ったからです。全面安ということは、意味もなく売られ過ぎた株はバーゲンセール状態になったわけですから、投資家からすれば「当然買うよね」という感覚。また、空売りで入った人たちは十分利益が出たので、利益を確定するために買い戻します。この一連の買いを受けて、システムトレードが先ほどとは逆の形で発動し、買いが買いを呼び、株価は一気に3217円も上がりました。

これが今回の乱高下の背景で、僕はシステムトレードの弊害も大きいと思っています。今は株価も徐々に戻っていますし、戻り幅も以前より小さくなっているので、一時のパニック状態は落ち着いてきたと言えるでしょう。

投資信託の資金流出入のデータを見てみると、あの暴落のとき、新NISAでつみたて投資を始めた人たちも相当数がつみたてをやめたようです。投資を初めて間もないせいで狼狽売りに走ったのだと思いますが、そんなに動揺することはなかったのにな、もったいないなと感じてしまいます。

下落するチャートの前で頭を抱えるビジネスウーマン
写真=iStock.com/D-Keine
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新NISA民には一時的な乱高下は関係ないはずなのに

皆さん、元々は長期投資として新NISAを始めたはずです。そういう人にとって、今回のような一時的な乱高下はまったく関係のないこと。ざわついている時点で言っていることとやっていることが違うわけですから、ちょっと意識の見直しが必要なんじゃないかなと思います。

狼狽売りした人は、YouTubeやSNSで見たインルエンサーの言葉をうのみにして、「新NISAはやったほうがお得なのかも」「つみたて投資がいいらしい」ぐらいの認識で新NISAを活用してつみたて投資を始めてしまったのではないでしょうか。

投資の手法というのは細かく数えれば何種類もあって、つみたて投資はその中で先人たちが「初心者を含めた多くの人に適している、最大公約数的な投資手法」としてたどりついたもの。長期継続を前提にすることで他の投資手法より面倒やリスクが少なくて済む、そこが大きな特徴です。

たった1日株価が下がっただけで大騒ぎするのは、その点を理解しないまま始めてしまったということ。確かに、ここ10年ぐらいでトップレベルの下げ幅だったのは間違いないですが、それで「NISAなんてもうやめよう」「投資はこわい」となってしまうのは明らかに理解不足だと思います。