書いた文章は何度も見直してこそ、完成する

文章は一度書き終えてからが勝負です。実はハーバード大学の学生たちも、エッセイを書き終えた後、その文章を何度も修正しているのです。学生たちが提出したエッセイは大学に所属する専門家たちが添削し、よりよい文章になるようにサポートしています。文章は、何度も修正を重ねてようやく完成するのです。

学生たちは、このように、「書く」⇒「添削」⇒「修正」という過程を何度もくり返しながら、テーマを深く掘り下げて考えることを学んでいきます。何よりもこの過程を通して、書いた文章を推敲することの大切さを学んでいるのです。

自分が書いた文章に赤ペンで修正されるのは、誰でもちょっと悲しく、時にはムッとしたりもするものです。しかしそれはくり返されることで慣れていくものです。ハーバード大学の学生たちも、何度も添削されるうちに自分の書いた文章がどんどん完成度の高い文章に変わっていくのを目の当たりにし、怖がらずに文章を書き、提出できるようになっていきます。

作文を書くことに抵抗のあるみなさんも、怖がることはありません。最初からうまく書ける人などいないのです。新聞も本も、教科書だって、プロが書いた文章を何度も修正して、完成度を高めたものが掲載されているのですよ。

さあ、怖がらずに書いて、どんどん修正しましょう。

「推敲の3ステップ」のルール

スマートフォンがアップデートをくり返しながらどんどん使いやすくなるように、文章もアップデートが重要です。文章をよりよいものにするため、文章を書き終えたなら、次に紹介する「推敲の3ステップ」を必かならず行いましょう。

ソン・スッキ、岡崎暢子(翻訳)『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)
ソン・スッキ、岡崎暢子(翻訳)『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)

① 音読する

赤ペンを片手に、最初から最後まで声に出して読んでみましょう。自分の意図が伝わるようにうまく書けているでしょうか? 声に出して読んでいくと、つながりが不自然だったり、表現の間違いがあるところで引っかかるため、修正ポイントがすぐに発見できます。修正が必要なところを赤ペンでチェックしましょう。また、読みづらい部分、発音しにくい部分にもチェックをしておきましょう。後でもっといい表現がないか考えるためです。

② 少し間をおいてから読む

書き終えてすぐに読み返しても、自分が書いた内容が頭の中に残っているので、間違いやおかしな部分に気づきにくいものです。少し経ってから読み直すと冷静な視点で読むことができるので、効果的に修正することができます。

③ ボリュームに合わせて簡潔にする

だらだらとした長い文章は読みづらいものです。しかし、書きたいことをいきおいまかせに書いていると、どうしても文章が長くなってしまいます。推敲段階で修正するときは、できるだけ短くすっきりとなるように整えましょう。文字数の制限を超えている場合は、どこを削る(捨てる)かもよく考えましょう。

[おうちの方へ]
お子さんの推敲作業をサポートしてあげてください。ただし、いきなり正解の表現や大人びた表現を教えるのではなく、お子さんが推敲する手助けをするように心がけてください。推敲して、最初の文章より少しでもよい文章になれば、それで十分です。
ソン・スッキ
1965年生まれ。大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国で10万部のロングセラー。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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