ラストタスクに何をするか

もうひとつ大切な、仕事を進めるのに欠かせないタイミングがあります。

デイリーリストのいちばん下に置く「ラストタスク」です。

もちろんそれは「最後まで残ってしまった仕事」という場合もあるでしょう。

しかし私は、それではもったいないと思います。とくに会社にいて「最後にやるタスク」の選別は大事です。これが終わったら終わりであり、これが終わったら帰れるのです。体力を温存しなくていいし、割り込みの案件も発生しにくいでしょう。

ここに「やりたくないから残ってしまった作業」を置き、それを片づけられるというのも悪くはありません。

しかしここで、大事なプロジェクトを進められると想像以上にはかどります。

とくに締め切りまでの日程が厳しいときには、ファーストタスクとラストタスクを同じタスクにするのがおすすめです。

私でいえば、仕事の最初には原稿を書き、仕事の最後にも同じ原稿の続きを書くのです。これを数日続けるだけで格段に原稿が進むことがあります。通常の2倍の速度が期待できます。もちろん、半年以上もずっとそんなやり方を続けるわけにはいきません。他にも大事な仕事が入ってくるはずです。

しかし一時的にペースを大幅に上げたいときに、使える手段だと考えています。

ファーストタスクと同様に、ラストタスクも「特別なタイミング」なのです。

<POINT>「頭が働くときにやろう」と思っても、そんなときはやってこない
木製のテーブルと水色の背景の壁に赤いヴィンテージ目覚まし時計
写真=iStock.com/samritk
※写真はイメージです

「宣言」してから仕事を始める

私はこの原稿を書くといった、大きめの仕事を始める前には必ず、原稿20:06~というように、「タスク名」と「開始時刻」をタスクシュートに記入してから仕事を始めます。このような「宣言」は、そこかしこで見られます。

食事の前に「いただきます」と宣言し、食事が終わると「ごちそうさま」と言います。朝起きれば「おはよう」と誰とはなくとも挨拶し、「おやすみなさい」と言ってから眠りにつきます。洋の東西を問わず、試合の開始終了時には「合図」がかかります。

私はこの種の挨拶に、あまり濃い意味や深い意味を付けたくない性格ではあります。「とりあえず一礼しておく」以上の意味を、あえてあまり意識しません。