両親の価値観が影響しているかもしれない

まず、「両親とお金との関係」を振り返って、自分がどのような影響を受けたのかを知ります。次に、お金に関してケチケチしすぎ、使いすぎ、こわがりすぎなど、大まかなお金ぐせの傾向を振り返ってみます。

そしてなぜその癖がついたのか、具体的なエピソードを思い出せると、より深くお金の価値観を見つめ直すことができます。

詳しくは、拙著『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー』のお金のインタビューや価値観ワークを試してみてください。

例えば、「父はとても堅実で、お金を大切に使う」「母はお金を持つとハッピーになり、パッと使ってしまう」と答えた人は、自分も似たような価値観を持っていることに初めて気づくかもしれません。

あなたの両親とお金との関係は、どのようなものでしたか?
出典=上原千華子『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)より

「家計は苦しいけど準備はしている」とアピール

次に、マネー習慣の整え方です。

難しく考える必要はありません。「使う、増やす、管理する」の3つのマネー習慣を整えるだけです。具体的には、必要なものとほしいものを明確にして、計画的にお金を使う、先取り貯蓄をする、家計簿アプリでお金の収支や借入をざっくり管理するだけで十分です。

親も人間。うっかりネガティブな口癖を言ってしまったり、お金のことで家族ともめたりすることもあるでしょう。その時は、子どもの前で失敗を修正するプロセスを見せることが大切です。特に13歳までの子どもの前では、意識して実践したいところです。

たとえば、「うちは貧乏だ」と言いつつ、実際にはお金の対策をしているとします。定期預金や保険、積立投資など、実は将来に向けてお金の準備をしていると伝えましょう。

私は幼少期に、たびたび母が「家計が苦しい」といっていました。一方、父は金額は見せないものの、家族全員分の定期預金通帳を見せていました。家計のやりくりは大変だけど、父がコツコツとお金を貯めている事実が、「必要なお金はちゃんとある」という思い込みを作ってくれました。

また、夫婦でお金をめぐるけんかをしたら、仲直りと再発防止策を決めるところまで見せましょう。子どもは、親の言動を無意識に刷り込んでいくことで、失敗からの修正をイメージしやすくなるでしょう。