いい文章を書くには、どうすればいいのか。『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。読みたくなる文章の書き方29の掟』(アスコム)を書いたライターのpatoさんは「あまりに内輪感を感じさせる文章を書かない。これを徹底的に守る必要がある。大人気ゲーム『ドラクエV』のビアンカ・フローラ論争を扱った記事が参考になる」という――。
※本稿は、pato『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。読みたくなる文章の書き方29の掟』(アスコム)の一部を編集したものです。
「内輪ネタ」は読む人に疎外感を与えてしまう
さて、伝えたいことを意識して文章を書こうとなった場合、おそらく多くの人が身近な題材を選んで伝えようとするはずだ。
なぜなら、多くの人は特に専門的な知識があるわけではないし、特異的な体験を持っているわけでもないからだ。だから、ほとんどの場合で自分の周辺の世界こそが題材となる。
ここで頭を悩ませ絶望する人もいる。こんな日常に誰も興味を持たないだろうという懸念だ。たぶんそれは正しい。僕らが有する情報は限定的だからだ。
その点に関しては後述するとして、ここでは身近なものを題材に選ぶ場合の注意点について述べる。けっこうやりがちなので最初に留意する必要がある。
「あまりに内輪感を感じさせる文章を書かない」
これは簡単なようでなかなか難しい。けれども、これは徹底的に守る必要がある。
そもそも、あなたが文章を書いて公表した場合、それを読む人の大半は第三者である他人だ。身内に向けた文章ならば別だが、ほとんどの場合は他人が読むはずで、他人が読むという前提を強く意識しなければならない。
他人から見た場合、内輪感のある文章は、書いている人が想像する以上に疎外されたように感じる。
「前置き」を意識することの重要性
端的な例を挙げると、身内だけで大流行した言葉を羅列されても意味がわからないし、専門的な知識を持った人にしかわからない専門用語をちりばめられたとしたら、これは自分に向けた文章ではないと判断されるはずだ。
それが疎外だ。疎外を感じたものに共感はしないし、共感がないなら伝えたいことも伝わらない。