子供の教育費は聖域と言われており、どこかで線引きしないと青天井になりやすい。この“線引き”のラインは夫婦間でも考えが異なり、往々にして悩みの種になりやすい。どう解決したらよいのか。家計再生コンサルタントでFPの横山光昭さんが、ある相談事例をもとに解決の糸口を示してくれた――。
なぜ夫は教育費を出し渋るのか
今回相談に見えたのは、IT系の仕事をする夫(52歳)と長女(中3)、長男(小2)と暮らす、専業主婦の北島ユキミさん(仮名・50歳)。4人で千葉県のベッドタウンにある賃貸物件に住んでいます。
当初の相談内容は「夫は出し渋りグセがあるから、その分私が、いざというときに出せる自分名義の貯金をしておかなければならない。どう貯めたらよいですか?」というものでした。
「夫はよく言えば堅実。悪く言えばケチ。自分が“これなら出してもいい”と思ったモノしかお金を出さないし、預金通帳も見せてくれない。今の北島家の貯蓄額は、夫の申告額を信じるしかありません。これほどガードの固い夫ですから、私が老後、あれがしたい、これがほしいと思っても出してくれる見込みは薄いだけでなく、2人の子供の習い事やそれに伴う道具代なども私自身の名義で貯めて払う必要があると思っています」(ユキミさん)
貯めるといっても、ユキミさんは専業主婦で無収入。独身時代の貯蓄が270万円残っている程度です。他方、夫の収入は手取り月62万円で、申告貯蓄額は5800万円。若い頃から倹約に励み、月給も賞与も使わずにせっせと貯めた成果は見事としか言いようがありません。ここまで築き上げれば、もはや「すごいケチ」です。