“経験の少ないベテラン医師”が増えてもいいのか

一方で、研修医の誤診を「悪」としてメディアがあおれば、どうなるか。こうしたメディアの無責任でセンセーショナルな報道は「悪」を隠す方向へと作用する。隠さないまでも、事故を起こさないためにと研修医には診療させないという「自衛」を考える病院も出てきかねない。

加えて「研修医には診てもらいたくない」という人が増えてしまえば、経験を積めない臨床医が、今後どんどん増えていってしまうだろう。そうなれば十数年後、“経験の少ないベテラン医師”にあなたも日常的に出会うことになるかもしれない。そういう未来でも良いだろうか。

研修医の誤診を短絡的に批判するのではなく、医師を育てるには、多くの時間とマンパワー、そして何より上級医のみならず患者さんサイドにも理解と協力が求められることを、すべての人に理解してもらえるよう、メディアは報じ方を再考すべきではなかろうか。

そして日赤名古屋第二病院の本事案に関係したベテラン医師の皆さまには、遺族の方々への真摯な説明はもちろんのこと、ぜひ当該研修医たちにも十分な精神的ケアをおこなうとともに、彼らがその後の医師人生に希望と学習意欲を持てるようサポートしてゆくことを、心からお願いしたい。 

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