疲れやすい部分は人によって違う
疲れやすい部分は、人(体癖)によって違います。また、活動や仕事の種類、体調によっても、必要とされる寝相は当然変わってきます。
四足歩行の動物たちが寝る姿勢には、さほどバリエーションはありません。しかし人は二足歩行をしているため、疲れ方や身体のこわばり方のパターンが、四足歩行の動物たちより複雑なものになっています。
睡眠中はまったく無意識ですから、誰もが特徴的な寝相になります。
寝相は、その人の活動によって生まれる姿勢の不具合を修復し、身心をリセットするための姿勢自身の働きと言えます。
ここで人のバリエーション豊富な寝相を眺めながら、どの部分の疲れやこわばりをほぐそうとする寝相なのか、また、どの体癖の寝相なのかを見ていきましょう。
自分自身が寝る時にとっている姿勢を思い浮かべながら読んでみてください。また、143ページの体癖一覧表を見て、普段の行動と照らし合わせるとリラックスしやすい姿勢や行動が見えてくるでしょう。
仰向けの姿勢で背中をチェック
その前に、布団に入った時に多くの人がとりそうな「正規版」イメージの寝相「仰向け」の姿勢について考えてみます。
「寝る」と言えば、まずこの仰向けの姿を思い浮かべるのではないでしょうか。仰向けに寝るのは、いかにもスタンダードな感じがします。
しかし実際に仰向けで寝て、背中の感触をチェックしてみると、こわばりや緊張を感じる場合が多いです。
実は、仰向けのままリラックスするのは、そう簡単ではなく、その前にいろいろな寝相をとって、身体の各部のこわばりをゆるめる必要があるわけです。そして、その結果として、仰向けの姿勢でも十分なリラックスが得られることが多いのです。
寝相から読みとく体癖
①横向きで寝る/左・右半身をゆるめる
横向きで寝るのも誰もがリラックスしやすい姿勢のひとつ。上になっている方の半身がゆるみやすくなります。たとえば左を下にして寝ていれば、右半身がリラックスしやすくなるわけですね。釈迦の涅槃図も横向きですから、シャバーサナ(死体のポーズ)の仰向けより、こちらの方がむしろリラックスのスタンダードと言えます。
起きている時に、首を横に傾けたり重心を左右のどちらかに寄せたりすると、立っていても座っていても重心がかからなくなった側がゆるみやすくなりますが、寝ている時も同じです(上半身が左右に傾く姿勢はリラックスの基本です)。
仰向けで首を傾け、胴体を少し横に曲げて寝る「バナナのポーズ」も、曲げた側と反対の半身がゆるみやすくなります。
またこの寝相は、みぞおちのまわりもゆるみます(ここは自律神経の働きが表れやすい場所なので、ストレスがかかるとキュッと縮み、ホッとリラックスするとゆるみます)。