ビジネスにおける成果は確率論である

たとえば提案書の提出率と商談獲得率の関係性を分析し、提案書を提出した時のほうが商談獲得率が高いとわかれば、提案書提出率を上げることを組織全体で取り組むべき課題として設定することもできます。面談したうち提案書を提出する比率を30%に設定し、全員で実践するといった具合です。

ビジネスにおける成果は、確率論に基づいています。つまり、いくつかの変数があり、その中で相関関係のあるものを見出し、実践することで結果が出やすくなります。営業であれば、面談の件数や提案書の提出件数などが変数となります。ただし、これらの変数は企業によって異なるでしょう。

ビジネスにおける成果が確率論である理由は、顧客という相手があるからです。たとえば、100件の面談を行ったからといって、100件すべてが成約するわけではありません。相手の気持ちや状況をコントロールすることはできないため、結局のところ確率の問題に帰結するのです。

組織の成果を上げるためには、この確率をいかに高めるかが重要です。つまり、行動の量と質を上げることに尽きます。

散乱した数字と虫眼鏡
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このへんについては拙著『数値化の魔力』にて詳しく紹介しています。そのためには優れた行動を言語化して仕組み化し、それを部門全体で実践することで確率を高め、安定的な成果を生み出すことが必要です。

アポ取りから面談まで一連の行動を「仕組み化」する

組織全体としての結果を出すためには、バラバラになっているかもしれないメンバーの行動を適切な方向へと導くことが重要です。そのために有効なのが、仕組み化による行動の統一です。

営業部門を例に取ると、面談の実施、アポイントメントの取得、電話でのコミュニケーションなど、営業活動における一連の行動を仕組み化することで、各メンバーの行動が成果につながりやすい行動になり、組織としての底上げができます。

他の部門、たとえば人事部門などにおいても同様のことが言えます。採用プロセスを例に取ると、応募から入社決定までの一連の流れがあります。その中で、内定承諾率を高めるためのクロージング方法に着目してみましょう。

たとえばクロージングの際に電話をかける人と、メールのみを送信する人がいます。もし、電話をかける人の内定承諾率が高いことがわかれば、全体でクロージングコールを行うような仕組みを作ることで、内定承諾率を上げることができるでしょう。

一方、バックオフィス系の業務においては、確率を高めるというよりも、納期を守ることが重要になります。たとえば、決算資料の作成において、何日以内に仕上げるというルールがない場合、仕事が進まないことがあります。