平等な「時間」の上手な使い方を知っている

この話を聞いたとき、私は心から「これぞ天才の発想だ」と感銘を受けたものです。

12月といえばクリスマスシーズンで、いつもよりもさらに表参道が賑わう時期。こんなに良い条件に恵まれたのも、スピーディーな判断があったからに違いありません。

こうして、9月にわかさ生活が話題になってから約三カ月後の12月15日、ポップアップストアがオープンしたのです。

単に弊社製品を販売するのではなく、キャラクターグッズを始め、クレーンゲームやカプセルトイを設置して、子どもから大人まで幅広い年齢の方が楽しめる空間には、期待通り「初めてわかさ生活を知った」という方がたくさん訪れてくれました。

「ジャスティン・ビーバーとおそろいのぬいぐるみ」として、SNSに写真をアップしてくれる人も多数見られました。

もしここで「賃料をもっと安くする交渉をしましょう」とか「表参道以外にもあたってみましょう」「前期の売上に対してここに予算を投じるのはちょっと冒険しすぎでは……」なんて会議に会議を重ねていたら、この効果は得られなかったはずです。

すると、ポップアップストアをオープンさせるという経験はおろか、今後得られたはずの知名度や利益も手に入れられなかったかもしれません。

お金や名誉は挽回できる機会があっても、時間だけは何をどうやったって取り戻せません。

時計とビジネスパーソン
写真=iStock.com/maselkoo99
※写真はイメージです

「やらなければならない」と思った瞬間に行動に移さなければ、大きなデメリットにつながることを、天才は肌で感じているのです。誰しもに与えられた平等な「時間」を、上手に使えるか否か。これも、天才と凡人を分けるものだと思います。

本当にそうなのか、別の見方はないのか

常識を疑う。

この思考は、天才に共通するものではないかと思います。

弊社で開発したプロテインを社員に知ってもらうために何ができるかと話し合っていたときのこと。一人の幹部社員は「プロテインの効果や効能について、勉強会を開くのはどうか」と提案しました。

すると、⻆谷は「もっと面白い取り組みがあるはずだよ」と言います。

しかし幹部社員は「面白い取り組み……」と頭を抱えたきり、良い提案が浮かびません。そんな様子を見て、⻆谷はニコニコと楽しそうに笑いながら、「例えば、プロテインを使ってホットケーキを作る大会を全社員でやってみるのはどうだろう。商品を実際に試してみて体験しないことには、良さはわからないはずだから」と、言ったのです。

恥ずかしながら、私も「勉強会」くらいしか思いつきませんでした。商品を知ってもらうには学んでもらうことが第一だという常識が、頭の中から消えていなかったのです。

また、日本人は空気を読むのが上手だと言われますが、それゆえに大勢の意見に流されがちです。

本当にそうなのか? 別の見方はないのか?

そんな視点を持って常に物事に向き合えるのも、天才ならではの生き方。だからこそ、常識を超えた発想が出てくるのでしょう。