「マイナス2.5億円」からのスタート

【大出】始めた頃は課題ばかりでしたけれど、今は改善しています。信じられないくらいのスピード感をもって経営している点が従来の放送局経営者と僕の最大の違いでしょう。

局の売り上げは以前は5億円くらいでした。ところが、僕らが引き継いだとたん、半分くらいに落ちてしまった。それはオーナーだったDHCの広告出稿がなくなったことが大きい。それで、堀江と僕が毎日、提案営業をしました。その結果、引き継いでから3カ月で黒字になったのです。今はなんとかそのまま頑張っているといったところ。ただ、油断すると、広告の売り上げは落ちて、赤字になってしまう。

ラジオ局のコストは番組を作る制作費と人件費。そしてCROSS FMの場合、本社スタジオに加えて福岡に2つ、計3つもスタジオがあります。儲かっていた時に巨大な投資をして、スタジオを作ったために、それぞれに機材と人員が必要なわけです。

オーバースペックなのでスタジオは本社だけに集約したいのですが、それにかかる撤退費用がバカにならない。もう少し、余裕が出てきたら、それは考えます。

地元のオーナー経営者に社長自ら営業回り

引き継いだ時、堀江と僕がこの人たちしかいないと思ったのは地元のオーナー経営者の方たちでした。電話して会いに行って、提案営業したんです。地域のデベロッパー、建設会社、それから地元のお医者さん。毎週1回15分から20分のコーナーを経営者、お医者さんたちに持ってもらおうと企画書を作り、足を運んで説明しました。

 

また、堀江はレギュラー番組『ホリサン』(毎週日曜日 午後2時)を持っています。この番組は聴取者が多いから、そのスポンサーもお願いしました。

 

僕らがやることは、人気を集める番組を企画して、そこのCMスポンサーになってもらうこと。それが王道です。

ただ、これまでラジオ局では営業を広告代理店にまかせていた。それを堀江と僕が直接、やっていることが違います。代理店に頼むよりも反応がわかるから効率的だと思います。

経営が変わってから新しく始まったのが片付けの近藤麻理恵さんの番組『こんまり 近藤麻理恵のときめきラジオ』。こんまりさん、ラジオが好きな人で、自分からやりたいと言ってくれて、ありがたいです。これは全国から反響があります。

放送作家の小山薫堂さんは出資もしてくれて、エグゼクティブプロデューサー兼アドバイザーになってくれました。番組もやってくれます。近々、始まります。

大出整氏
撮影=プレジデントオンライン編集部
前オーナーの広告出稿が消え、売り上げが半減した状況から経営をスタート。社長自ら地元企業を回り、提案営業を続けている。