若年層にネットマーケティングが効きすぎている
TikTokやYouTubeで石丸氏の切り取り動画が大いにバズり、露出が大きくなることで、ネットしか見ていない若年層が、他の候補と比較検討するということをせず、「石丸一択」となってマス的流行をつくる。狭いスコープで大量に同じ情報を受け続けることで影響を顕著に受け、スマホでSNSアプリをいじる延長でそのまま社会行動に移すという現象が起きている……と感じるのだという。
「いま、たとえば広告やオールドメディア的な、上からの圧力で一気に大量を動かすマスマーケティングの効き目が弱っているのでまだそれほど目立ってはいないですが、若年層の動きが明らかに昔よりも短絡的になっているんです。SNSでの各個撃破(敵が分散しているうちに、そのそれぞれを集中的に撃ち破っていくこと。弱者が強者に勝つための戦法と言われる)的な動きが連鎖してマス的流行を生むようなことが、いまいくつも生じているんです」
石丸氏が政治家としてどうか、彼の政策がどうか、という以上に、ネットでのPR戦術が効果を生みすぎた結果が、「石丸ショック」の別の面でもあるのだ。
英国議会では14年ぶりの労働党政権誕生、フランス国民議会では極右政党の台頭、そして米国大統領選では「世界一人材の厚い国のはずなのに、両党ともに消極的選択のすえに候補者が2人とも高齢者」という2024年。「もう優秀な人材は政治なんかやらないのかもしれない」という声も上がる。
2024年の都知事選で見られた数々の問題点は、日本の今を確実に映している。