1ドル160円は通過点にすぎない

円安と物価上昇が止まりません。この非常事態に、自分の資産をほったらかしにしておくことは危険です。

日本経済の未来はどうなるのか。私は長年、日本経済が大混乱に陥る「Xデイ」の到来を警告してきました。それがすぐ近くまでやって来ています。一刻も早く資産を守らなければなりません。円の価値が急落し始めた今、私は世界で一番信用のある国の通貨であるドルの資産、特にドル建てMMFを購入することを勧めています。それは2回目以降で詳しく紹介するとして、まずは、Xデイが到来したとき何が起こるかを見ておきましょう。

私がXデイと言っているのは「日本株売り」「日本債券売り」「円売り」で3つの大暴落が起きる日のことです。そして、Xデイの後にはハイパーインフレがやって来ると考えています。

では、Xデイはいつ来るのか。私は日本銀行が債務超過になり、外資が日本から撤退を始めた日だと考えています。債務超過とは、資産を負債が上回る状態のことで、すべての資産を現金化しても負債を返済できないことを意味します。会社であれば倒産の危機に陥っていることになります。すぐに倒産することはありませんが、きわめて危険な状況です。

現時点で日銀の純資産はプラスの状態ですが、株式の評価益でかろうじて債務超過を回避しているにすぎません。そもそも中央銀行は株など保有してはいけません。にもかかわらず、いまの日銀は「日本一の株主」になっています。株価が下がれば債務超過に陥ります。債務超過になれば、格付機関や外資系の銀行が「日銀は大丈夫か」との懸念を抱き、審査に入るはずです。中央銀行が債務超過に陥ったとしても、破綻はたんしない学問的な条件は3つあります。①債務超過が一時的だと市場が信じる、②金融システム危機に対処するために一時的に債務超過になるが中央銀行自体は健全である、③政府の財政が健全化に向かっており、将来税収により中央銀行の赤字が補填ほてんされると予見できる、です。日銀が債務超過に陥った場合、いずれも満たしません。

外資系の銀行が「日銀は将来的に改善しない」と判断すれば、日本から撤退するでしょう。それは日銀にある当座預金を閉鎖することを意味します。外資、特にアメリカの銀行が日銀に当座預金口座を持っていることは、極めて重要です。銀行間の為替の決済は、すべて中央銀行にある各銀行間の当座預金で行われます。アメリカの銀行が日銀にある当座預金口座を閉鎖してしまえば、邦銀はドルにアクセスできなくなります。そうなると、外国人は円に見向きもしなくなるでしょう。円の価値は暴落です。1ドル200円どころではなく、1ドル400円、500円も通過点にすぎず、青天井で安くなるでしょう。