人間関係を円滑に続けるにはどうすればいいか。精神科医の伊藤拓さんは「無意識に余計な一言を言って相手を傷つけたり、イラつかせたりすることがある。そういうときは、前頭前野の働きが低下しているので、まず、思ったことをすぐに口にしないことが重要だ」という――。

※本稿は、伊藤拓『精神科医だけが知っている ネガティブ感情の整理術』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の一部を再編集したものです。

家事を手伝わない男性に欲求不満な女性
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ネガティブ感情を生む口グセ「6D3S」

誰かと会話をしている時に、相手の話し方のクセに気づいたことはありませんか。

「やっぱり○○だよね」「実は○○なんだ」「ええと、なんだっけ」など、本人は無意識に使っているので気づいていませんが、同じ言葉が頻繁に口から出てくる人は多いと思います。もしかしたら私自身も、気づいていないだけでよく使っている言葉があるかもしれません。

こうした口グセとして、次のようなネガティブな言葉をよく口にする方もいます。そうすると、考え方や行動もネガティブなほうに引っ張られていきがちです。

よく言われるネガティブな口グセが、次の「6D3S」です。

6D:「どうせ」「でも」「だって」「ダメだ」「どうしよう」「できない」
3S:「しょせん」「すべき」「しなければならない」

どの言葉も、その後に続くのは大抵ネガティブな言葉です。会話の中でこの6D3Sを選んでいる時点で、ネガティブな会話のスパイラルに入ってしまっているわけです。

ポジティブな言葉で思考も行動も前向きに

口グセは日々の習慣の中で身についていくものです。そのことに気づけば、できるだけ使わないようにしてクセを直していくことは可能です。

「どうせ私にはできない」のような、自分自身を低く評価するような言葉をやめて、「きっとできる」「大丈夫、うまくいく」「なんとかなるよ」と、自分を励ますような言葉をかけてあげましょう。

ポジティブな言葉を口にすれば、次にくる言葉もポジティブなものが増え、思考や行動も前向きになっていきます。

一度ついてしまったクセは、すぐには直らないかもしれませんが、少しずつでも変えていこうと意識すれば、ポジティブな言葉が自然と出てくるようになっていくでしょう。