※本稿は、西島知宏『速案 誰よりも速くアイデアを生む15の公式』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
誤解:アイデアは大切にするべき
突然ですが、あなたが3年かけて進めてきた新商品のプロジェクト、そのネーミング会議が明日開かれるとします。いくつくらいのネーミング案を持っていきますか。
まさか「とっておきの一案」なんてことはないですよね。あなたが手塩にかけて育ててきたプロジェクトですから、あれこれ迷って何十案と持っていくはずです。
一方でこういうとき、100案、200案という膨大な量のネーミングを持っていく人も少ないのではないでしょうか。「そんなに持っていっても意味はない、自信のある案だけ持っていけば大丈夫」と思っているあなた、次の言葉を聞くと、考えが変わるかもしれません。
これは私が若手のとき、著名なクリエイティブディレクターに言われた言葉です。私自身、クリエイターとしてキャリアを重ねていくうち、この言葉が身に沁みてわかるようになりました。だから、仕事の現場において、アイデアは最低でも100案以上出すようにしています。
実際、仕事に慣れてくれば良いアイデアの打率は上がってきますし、アウトプットする前に頭の中でアイデアを取捨選択ができるようになるので、アウトプットするアイデアの数は少なくなります。
しかし、どんなにアイデア出しがうまくなっても「アイデアを捨てる前提」か、「捨てない前提」か、どちらの前提に立つかで、最終的なアウトプットのクオリティが確実に変わります。アイデアを捨てない前提に立つと、そのアイデアを捨てるのが惜しくなり、客観的な視点と、より良いアイデアを求める意識がなくなってしまいます。
アイデアを捨てる前提に立つことで、いい意味でアイデアに執着せず、アイデアを客観的に捉え、より良いアイデアを求められるようになります。
アイデアを評価するのは、自分ではなく他者。ここからは逃げられないので、アイデアは捨てる前提で、どんどん発想して、どんどん捨てる。このことを意識しながら、よりベターなアイデアを模索してください。