「挨拶しないスタンス」は損をする

とくに気を付けておきたいのは、職場で20代くらいの新人・若手の時分に「挨拶しないスタンス」をやってしまうことだ。これは本人が想像している以上にデメリットは大きくなってしまう。

なぜなら、その人は周囲からの「給料泥棒」的なイメージが強まってしまうからだ。

当然ながら新人や若手というのは、基本的には組織内の生産性にあまり貢献できないものだ。一般企業で採用や教育にまつわる諸々のコストを差し引くと、3~5年くらい働いてもらったところで、ようやく採用したことで黒字が出る計算となる。

とはいえそれは新人や若手が悪いわけではない。組織にやってきたばかりの新参者なのだから仕方ないことで、職場の先輩や上司はその人がきちんとバリューを出せるように指導する責任がある。

オフィスで会議を開いているサラリーマン
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「笑顔でハキハキ挨拶」にはすごい効果がある

しかしながら、新人や若手はお金をもらいながら指導を受けている間、自分と同じ共同体に属する仲間に対して「お返し」をする術がほとんどないこともまた事実だ。「働きでその分を返す」というのは、そもそも新人や若手は生産性がマイナスなのだからもとより無理であって、そうなるとかれらにできるのはせいぜい「いい感じのムードをつくる」「元気をおすそ分けする」「自分に教えるのが楽しい気持ちにさせる」くらいしかないのだ。よって新人や若手が、周囲の先輩や上司にしてもらっていることへの、せめてもの“恩返し”の最適な方法が「笑顔でハキハキ挨拶」なのである。

「笑顔でハキハキ挨拶」の効用は思った以上にすさまじい。組織の生産性に貢献できず、仕事上でもミスが多くて、客観的には他のメンバーの足を引っ張っている人でも、だれよりも大きな声で「笑顔でハキハキ挨拶」ができるというただそれだけのことで、そうしたマイナスの側面が帳消しになっていることもめずらしくない。

しかし、「挨拶をしないスタンス」の人はそのような恩恵はまったく得られない。それも生産性(売上)で貢献できず、周囲に教育やミスのリカバリーといった追加コストを支払わせる若輩者がそうだったら目も当てられない。周囲からの評価はかなり深刻になる。それはつまるところ「自分からは一切お返しをするつもりもなく、他人の時間やリソースを盛大に奪って平然としている人」に見えてしまうからだ。