医療を受けずに最期を迎えられる人は稀

次に、終末医療についてです。

高齢になると医療と無関係で過ごせる人はほとんどいないでしょう。普段は自立して暮らしていても、複数の持病を抱えて通院している人は珍しくはありません。そして、何かのきっかけで入院し、回復して自宅に戻ったけれどまた入院して、といったことを繰り返すことは多いものです。

本人の意識がはっきりしていれば、医師らの説明を聞いたうえで、自分の意思に基づいて治療を行うことができますが、認知症などで意思が伝えられない状態になったときはどうすればよいでしょうか。

万が一の場合、延命を望むかどうか

エンディングノートには、「延命治療」や「終末期の医療」などについて記入する項目があります。終末期医療に関する情報を収集し、家族や親しい人とも話し合いながら、自分自身の考えを徐々にまとめておくとよいでしょう。

考えがまとまったら、「少しでも長く命を引き延ばしたいので、できる限りの治療を希望します」とか、「延命のみを目的とする医療行為は望みませんが、緩和ケアで苦痛は取り除いてください」など、自分の意思を書き記してください。

突然、救急搬送される事態になるかもしれません。エンディングノートの該当部分を、「終末期医療に関する事前指示書」などのタイトルをつけて、すぐわかるようにしておきましょう。防災グッズに保険証やお薬手帳、処方薬などをポーチなどに入れて持ち出せるようにしている人は多いので、それと一緒に保管しておき、救急隊が来たときに一緒に持ち出せるようにしておくと安心です。

救急車
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです

意識がない場合に備えて、家族や親しい人にその存在と場所をあらかじめ伝えておき、後で病院に届けてもらえるようにしておくとよいでしょう。

延命治療といってもさまざまで、「拒否する」「希望する」の二者択一で済むわけではありません。ここでは、病院や施設で記入を求められる意向確認書などの項目に従って、延命治療とはどのようなものかを見ていきます。