できるだけ自然な状態で死を迎えるには
① 痛みについて
強い鎮痛薬(麻薬系鎮痛薬など)で痛みを抑えると、意識の低下が多く見られ、鎮静剤は副作用で呼吸が抑えられることがあります。ある程度痛みがあっても、できるだけ自然な状態で死を迎えたい、強い薬で意識レベルを低下させることは避けたいという場合、「自然のままで」と希望します。
② 心臓マッサージなどの心肺蘇生
死が迫ったときに行われる心臓マッサージ、気管挿管、気管切開、人工呼吸器の装着、昇圧剤の投与といった医療行為のことです。回復の見込みがない状態で気管挿管による人工呼吸器を装着すると、その後、家族が要望しても人工呼吸器を外すことは困難です。
③ 鼻チューブによる栄養補給
鼻からチューブを胃まで入れて、流動物を流し込んで栄養補給をすることです。本人の苦痛が大きく、自分で管を抜いてしまうことが多いため、手足の拘束を必要とする場合があります。鼻腔の汚れが咽頭に運ばれて気道感染の原因となることがあります。
「胃ろう」になったら終わり?
④ 胃ろう、腸ろうによる栄養補給
みぞおちから胃に通じる穴(胃ろう)を造り、器具を装着して直接胃に栄養剤を入れるものと、おなかの皮膚と小腸の間に穴(腸ろう)を造って細い管を通し、小腸に栄養剤を入れるものがあります。
鼻チューブに比べて喉の違和感がなく、自分で抜きにくいので安全性が高く、訪問看護などを利用することにより、自宅に帰って生活することもできます。口から必要量が食べられるようになれば、装着した器具を抜くと、ほとんどの胃ろう・腸ろうは自然にふさがります。
「口から食べられなくなったら終わり」といって胃ろうなどを忌避する人もいますが、嚥下機能が低下したときに誤嚥性肺炎を予防するため、緊急避難的に胃ろうを造ることもあります。
⑤ 末梢点滴(手足の血管からの点滴)
通常の点滴では、必要なカロリーの半分から3分の1程度しか入らないため、徐々に栄養失調になっていきます。血管が次第にもろく漏れやすくなるため、いずれ点滴はできなくなります。新陳代謝の機能が低下すると、余剰分が体内にたまり、むくみの原因となり、身体に負担をかけます。