主人公が殺される渾身の描写も短くカット

主人公の警官マーフィー(ピーター・ウェラー)は、クラレンス(カートウッド・スミス)を首領とするギャング団を廃工場に追い詰めるが、逆に捕まってなぶり殺しにされてしまう。まずショットガンで手首を木っ端微塵に吹き飛ばされ、次の散弾で腕を撃ちちぎられる。6人の敵から弾丸の雨を浴びせられて文字どおり蜂の巣のようになったマーフィーは、とどめに脳天を撃ち抜かれる。後頭部に握りこぶし大の穴が開いて脳味噌が飛び散る。

この残虐描写は他のシーンと同じくヴァーホーヴェン自ら細かく絵コンテを描いて設計したものだったが、やはり劇場公開版では短くカットされた。

マーフィーの死体はロボコップとして蘇り、女性をレイプしようとした暴漢の性器をベレッタ93Rの三点バーストで粉砕する。この描写もヴァーホーヴェンが現場で出したアイデアだ。

「成人指定レベルの残虐描写」と論評

クラレンスの黒幕はジョーンズだった。ロボコップはジョーンズを逮捕しようとするが、オムニ社の社員には危害を加えられないようプログラムされていた。「大企業の資本家は何をしても許され、我々は誰も企業支配からは逃げられない現実を象徴している」とニューマイヤーは言う。逆にロボコップは警察に追われ、SWATから集中砲火を受け、命からがら脱出する。この銃撃も血こそ出ないものの、思わず目をそむけたくなるほど延々と続く。

ジョーンズはロボコップを倒すため、オムニ社の軍事部門が開発した対戦車兵器「コブラ砲」をクラレンスたちに支給する。コブラ砲は実在する長距離狙撃銃バレッタ50口径ライフルだ。コブラ砲で廃工場に潜んだロボコップを狩り立てるギャングたち。そのうちの一人が産業廃液を頭から被って、ドロドロに溶けた化け物になってしまう。

さらに、仲間の車にはねられて木っ端微塵に砕け、車のフロントガラスに溶けた肉片と内臓がベチャッと飛び散る。このシーンは、プロデューサーのデイヴィソンが死守してカットさせなかった。これを観た『ニューヨーク・タイムズ』紙は「成人指定レベルの残虐描写」と書いた。