「真実を信じようとしないことで人は騙される」

妻は夫の不倫の明らかな証拠を手にしたにもかかわらず、行動には移さず、浮気夫との結婚生活を続けた。夫も写真が送りつけられる前に彼女から突きつけられた最終通告に従わなかった。「あなたが決断しないなら、代わりにしてあげるわ」と言われていたのに。

彼を忘れるためならなんでもすると彼女は言っていたが、自分との約束を守ろうともがいているのがよくわかった。彼がしてくれないからこそ、彼女が一歩踏み出さなければならなかったのだ。疲れ果て、声に悲しみをにじませながら彼女はこう言った。

「これは私に委ねられていることで、留まるか去るかは自分次第なの。それが現実。今の私はしっかり直視できる現実主義者よ」

少し間を置いて続けた。

「もちろん、本当は彼が離婚して、私と一緒になることを夢見てる。でも、このままだと自分を過小評価していることになる。実際、奥さんと別れないと思うから」

私は黙ってうなずくしかなかった。私たちはホテルの朝食の写真から2人の旅行の写真まで、彼女のスマホの写真をスクロールし続けた。それらの写真を見て、セーレン・キルケゴールの名言を思い出した。

「人は2通りの騙され方をする。1つは真実でないことを信じること。もう1つは、真実を信じようとしないこと」

浮気が発覚するまでの時間は平均4年

さて、浮気当事者の内なる思考を理解しようとするうちに、ある疑問にたどり着いた。浮気の兆候とはどういうもので、秘密の関係はいつバレるのか? それは1回目で、それとも2回目で、あるいは3回目でなのだろうか? 答えを言えば、たいてい1回目では発覚しない。この時期に発覚するのは10人に1人の割合だ。むしろ、2回目か3回目の浮気の時に明るみに出る。

時間に関していえば、浮気が発覚するまでに平均約4年かかる。これは、浮気専用サイト〈イリシット・エンカウンターズ〉の会員1000人を対象にした調査で判明した。つまり、当然のことだが、浮気をする期間が長ければ長いほど――遅かれ早かれ――パートナーがその兆候に気付く可能性が高くなるということだ。