ありのままの自分を受け入れる「自己受容感」

ふたつめの「② 自己受容感」は、ありのままの自分を認めて、受け入れる感覚のことです。仕事では、毎日の結果が必ず出るため、それに対するネガティブな評価を受けることもあります。どんな人もマイナスな結果やネガティブな評価は嫌ですから、そんなことにずっと心をとらわれていると、たとえメンタルが強い人でも心はどんどん弱っていきます。

また、自分を受け入れる力が下がると、「自分はもっと上に行きたい」と思ったとしても、すぐに「いや、うまくいくわけがない」と、自己否定をしてしまいます。論理的に考えると、すべてがうまくいかなくなるわけはないのですが、自己受容感が低くなると、どうしてもマイナス感情にとらわれてしまうのです。

自分に対する「いい評価」を毎日行っていく

そこで、自分自身を受け入れるための効果的なメソッドとして、「スリー・グッド・シングス」を紹介しましょう。これは、一日の終わりにその日のことを思い返して、「自分のよかったところ」や「評価をしてあげられる点」などを、毎日3つ書き出すという方法です。

スリー・グッド・シングス

中堅以上のビジネスパーソンになると、仕事でのプレッシャーが増すにもかかわらず、周囲からほめられる機会はどうしても減りがちです。次から次へと降りかかる課題やタスク、高い目標値の設定、世代間ギャップによるコミュニケーションの摩擦、プライベートでのいざこざ……。そんなマイナスな出来事に心が奪われていると感じるときは、自ら自己評価を上げていくことが有効です。

自分に対する3つのいい評価を毎日出していくと、特段周囲から評価されなくても、「グッド・シングス」を探すようになっていきます。また、たとえネガティブな出来事があっても、「失敗するときもあるよ」「マイナスな評価も当然あるよ」というふうに、自己評価を自分で行って、高めていくことができるでしょう。

自分にいい評価を伝え続けていると、マイナスからプラス方向へと、心の視点を移動できるようになります。これを自分で行えること自体に価値があるのです。そうして、自分へのいい評価を増やしながら、明るい夢や希望、課題解決の方向へと向かっていければ、自分に対するネガティブな評価は反比例して小さくなっていきます。

自己受容感を高めるには、自分に対して加点的に考えていくマインドを、ゆっくりでもいいので毎日つくっていくことが大切なのです。

ここでは、①自尊感情と②自己受容感について見てきましたが、【後編】では、③自己効力感、④自己信頼感、⑤自己決定感、⑥自己有用感について深掘りしていきます。

(構成=岩川悟、辻本圭介 図版作成=木村友彦)
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