SNS上で著名人になりすまし、投資などを呼びかけるニセ広告が広がっている。この問題で、ZOZO創業者の前澤友作氏は、Facebookなどを提供するメタ社に対し、1円の損害賠償とニセ広告の差し止めを求めて提訴している。ジャーナリストの岩田太郎さんは「裁判では前澤氏の求める『1円の損害賠償』は認められるかもしれないが、メタ社の責任については否定されるかもしれない」という――。

前澤友作氏はメタ社を訴えた

米テック大手メタ社のFacebookやInstagram、短文投稿サイトのX(旧Twitter)などで、セレブになりすましたSNS型投資詐欺が多発している。

衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作氏(48)は5月、メタ社を相手取り訴訟を起こした。メタ社が前澤氏の氏名や肖像を無断で使用した広告の掲載を許可したとして、1円の損害賠償と掲載差し止めを求めている。

前澤氏はさらに、詐欺広告対策についての具体的な内容の提示、責任者への証人尋問、そしてプラットフォーム事業者の規制を含めた迅速な対応を求めている。

メタ社は「対策に多額の投資」と繰り返すが……

実はメタ社を訴えているのは前澤氏だけではない。いま同社は世界中で詐欺広告に関する訴訟を受けている。

カタールの著名ビジネスマンや、オーストラリアの富豪実業家、英国のファイナンシャル・プランナーなどのほか、著名実業家イーロン・マスク氏も同社の被害者だ。

前澤氏のケースは「氷山の一角」である。

これだけ訴訟されているにもかかわらず、メタ社は「対策に多額の投資をしている」と繰り返すばかりで、一向に被害がなくならないのが現状だ。

ぼやけたMETAのロゴ
写真=iStock.com/Kira-Yan
メタ社は世界中で訴訟を受けている(※写真はイメージです)