「朝ドラヒロイン史上、最も遊んだ女では?」
遠野さんは当時を振り返って、今、そう語る。
「自分ではうまく立ち回ったつもりでしたが、周囲の方達はわかっていたようでした。『あの時、遊んでたでしょう?』などとあとで言われましたから。SNSなどない時代でしたから、世間に広まることもなかったのでしょう。今思えば、そんな私を辛抱強く起用してくださって、申しわけなさと感謝の気持ちでいっぱいです」
思えば、実の親から愛されない空虚感や寂寞感を、男性との交わりで埋めようとしていたのか。虐待にあった子供はアルコールや薬物などの物質依存、性的に奔放になる性依存になる可能性が高いという(※)。
遠野さんもまた、仕事がない時は大量のアルコールを摂取して1日を過ごした時期もあった。しかし、原因となった親との関係性を修復していないので、いくら男性と出会おうと酒を飲もうと根本的な解決にはならない。
自分を必要としてくれたバラエティ番組で爪痕を残す
朝ドラが終わった後は、通常ならば所属事務所はヒロインを演じた女優として盛大にプッシュしていくが、そうはならなかった。なぜなら遠野さんは、付き合っていた男性を追いかけてアメリカに渡ってしまい、しばらく日本にいなかったのだから。若手女優として大事な時期を棒に振ったのだ。
それでもその後は民放の昼ドラのヒロインにもなったし、映画で新人賞も受賞。数多くの舞台経験も積んだが、世間的な知名度は今ひとつ。そんな彼女が幅広い認知度を得たのは、バラエティ番組の出演がきっかけだった。歯に衣着せぬ率直な発言や、毒のあるコメントがウケて、バラエティで引っ張りだこに。
「バラエティでは、自分が“必要とされている”という感覚があって嬉しかったんです。加減がよくわからなかったのもあったけれど、毒を吐きまくってでも爪痕を残したかった。次々とオファーがあるのは、自分が必要とされている証ですから」