皇室が政治に口出しすることは禁止されているが…

さる宮内庁関係者が新潮にこう明かす。

「額賀議長は就任後、上皇ご夫妻に謁見する機会があり、その際に上皇后さまから『(皇位継承に関する議論を)よろしく進めてくださいね』というご趣旨のお声がけを賜っているのです」

それを確かめようと額賀議長に新潮が、「上皇后さまのご意向があったと聞きましたが」と尋ねると、

「それまでの饒舌がうそのように突然沈黙。しばし静寂ののち、一方的に電話は切れてしまったのだった」(新潮)

これを読んだ読者は、美智子上皇后が額賀議長に声がけした事実はあったと思うのではないか。

当然、上皇后が政治に口出しすることは憲法で禁止されている。それにもかかわらず、上皇后が口を出したとすれば、皇室を揺るがす由々しき事態になりかねない。

先のセブンは、こう書いている。

「宮内庁の反応は早かった。23日、宮内庁長官が定例会見で報道を真っ向から否定したのだ。(中略)『宮内庁担当記者らの質問に返答する形ではなく、自ら週刊誌報道について切り出して否定した対応は、異例といえます。

美智子さまに関する事柄について長官の一存で言及できるはずがありませんから、会見内容は、美智子さまのお気持ちを汲まれたうえでのことでしょう』(宮内庁関係者)」

皇居
写真=iStock.com/kuremo
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「雅子さまも静かに怒りを燃やされている」

では、上皇后の発言報道は事実ではないのか? こう宮内庁関係者は続けている。

「それほどに、美智子さまのご心痛が差し迫っていたのではないでしょうか」

つまり、美智子発言はあったというのが前提なのだ。

そのために、

「ようやく議論が進もうとしていた矢先の、まるで美智子さまが口出しをされているかのような報道には、雅子さまも静かに怒りを燃やされているそうです」(同)

雅子皇后が静かな怒りをたぎらせている相手は、新潮報道に対してと書いてはいるが、深読みすれば、美智子上皇后ということになるのではないか。

私も長年週刊誌屋をやってきたからよくわかるが、こういう論法は週刊誌の常套手段である。どこかの週刊誌が報じたことをそのまま取り上げ、「それが事実だとしたら由々しきことである」と重ねていくのだ。

しかし、今回の美智子上皇后の発言は、長年、上皇と築いてきた「国民と共に歩む」という路線からは考えにくいし、もし事実なら、「掲載前に同誌から事実関係の確認があり、宮内庁は否定する回答を送っていたという。西村(泰彦宮内庁長官=筆者注)氏は『我々の回答に一切触れていないというのはちょっとアンフェア』とも述べた」(朝日新聞デジタル 5月23日 15:49)というだけで済む話ではあるまい。