私たち一人一人が「食の安全」の担い手である

本稿の読者のみなさまには、特殊害虫の根絶と再侵入の防止に向けた壮絶な闘いの軌跡を正しく知っていただくとともに、いったん外来種の侵入を許すとどれだけ多くの税金を投入する事態に陥るか、ぜひ想像してみてもらいたい。

宮竹貴久『特殊害虫から日本を救え』(集英社新書)
宮竹貴久『特殊害虫から日本を救え』(集英社新書)

根絶事業の視点を通して、今後、日本は食の安全をどう守るべきか、また、その侵入防止対策をどのように維持・発展させていくべきか、真摯に考えなくてはならない。

特殊害虫の根絶によって日本の食と農を守り続けている「名もなき戦士たち」の活躍と努力によって、わたしたちの食の安全が保たれている実態を伝えたい。

そのような思いから、今回『特殊害虫から日本を救え』を著わした。

日本の食と農を支えた名もなき戦士たちの努力と情熱と執念に、ぜひ触れてみていただきたい。

■参考文献
*1 MBC南日本放送2024年5月24日(最終更新5月24日16時16分)「サツマイモを食い荒らすイモゾウムシ 鹿児島市、指宿市などで確認続く」
*2 毎日新聞2024年3月15日20時55分(最終更新3月15日20時55分)「サツマイモの害虫『イモゾウムシ』、鹿児島本土で16年ぶり確認」
*3 あなたの静岡新聞2023年3月29日「サツマイモ害虫 浜松で緊急防除 1年間作付け禁止に アリモドキゾウムシ」
*4 農林水産省 アリモドキゾウムシに関する情報(更新日:2023年11月29日) https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/arimodoki.html/arimodoki.html
*5 植物防疫所ウェブサイト https://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/domestic/dsinnyuu/hakkenjokyo.html
*6 Koyama et al. 1984 Eradication of the oriental fruit fly (Diptera: Tephritidae) from the Okinawa Islands by a male annihilation method. Journal of Economic Entomology 77, 468-472
*7 Koyama et al. 2004 Eradication of the melon fly, Bactrocera cucurbitae, in Japan: importance of behavior, ecology, genetics, and evolution. Annual Review of Entomology, 49: 331-349
*8 Himuro et al. 2022 First case of successful eradication of the sweet potato weevil, Cylas formicarius (Fabricius), using the sterile insect technique, PLOS ONE https://doi.org/10.1371/journal.pone.0267728
*9 Ikegawa et al. 2022 Eradication of sweetpotato weevil, Cylas formicarius, from Tsuken Island, Okinawa, Japan, under transient invasion of males, Journal of Applied Entomology, 146: 850-859

【関連記事】
最悪の場合、死に至る…「ジャンボタニシ」を水田に放つ除草農法に絶対手を出してはいけない根本理由
やがて太陽光パネル"大量廃棄の波"が押し寄せる…地銀の「電力子会社設立ブーム」に潜むリスク
なぜ和歌山県で「1億円プレーヤー」の農家が増えているのか…東大教授が絶賛する「野田モデル」の画期的内容
「自転車通勤率」全国1位の大阪と2位の京都で、事故率が驚くほど違う…京都の「自転車政策」のすごい効果
あのブランド温泉地がまさかの消滅危機…20〜30代女性が半減「消滅リスクの街」に必ず起こる"前兆現象"