延々と続く「特殊害虫」との闘い
イモゾウムシは、近縁種のアリモドキゾウムシと並び、サツマイモの二大害虫である。
2種のゾウムシは農林水産省によって特殊病害虫に指定されている。このうち害虫のことを指して「特殊害虫」と呼び、昭和の時代から根絶作戦が展開されている。
日本では、これらの害虫に多くの人々が対峙し、闘ってきた歴史がある。そして、近年は新たな外来害虫の侵入が続いている。
リスクは明らかに、再び高まっている。
被害を拡大しないためには、外来害虫がどのような経緯で日本に侵入し、その侵入にはどのような背景があり、また、それがどれほど私たちの暮らしや自然生態系に影響を及ぼしうるのか。正しく把握しておくことが大切だ。
近年増加する外国由来の「特殊外来害虫」の侵入
サツマイモを加害するゾウムシの脅威は、九州に限ったものではない。2023年7月31日付の中日新聞では「寄生害虫根絶へ 西区で農家ら『ヒルガオ』除去」(*3)という記事が配信されている。
2022年10月には浜松にアリモドキゾウムシが侵入し、これらの地区では2024年5月現在でもサツマイモを含めてヒルガオ科植物を栽培することが法律で禁止されている(*4)。サツマイモ栽培農家にとっては死活問題だ。
(注)「焼きいも」が第4次大ブームの中…日本に“サツマイモが消える危機”が迫っている事実をご存じか 参照
昨今はヒアリ、セアカゴケグモ、ツマアカスズメバチ、クビアカツヤカミキリ、オオキンケイギクなど次から次へと海外からの外来侵入生物に関する数多のニュースが報道される。
ネット中心の情報過多の現代では膨大なニュースに埋もれがちだが、ある地域に存在しなかった生物が新たにそこで見つかることの科学的意味、生態的な背景、そして私たちの日常や経済に及ぼす影響を考えることが重要だ。