不登校の原因は追究しない

不登校の解決が難しいと思われている理由の一つが、「不登校の原因はさまざまで、それを突き止めること自体が難しいから」ということです。

不登校の子一人ひとりに、学校に行けなくなった理由があり、そこにたどり着かない限り解決ができないと考えているのです。

「どうして学校に行きたくないと思ったの?」
「学校に行きたくない理由が何かあるの?」

そんなふうに、原因を探ろうとする親御さんは多いと思います。もちろん、お子さんの話を聞いてあげることは大事です。「これこれがイヤだったんだね」と、気持ちに寄り添ってあげることは、良い親子関係を築くうえでも重要です。

ただし、たとえ原因だと思われるものを見つけても、そこにアプローチしただけでは問題が解決しないことも多いのです。たとえば、「授業がわからなくてついていけないから行きたくない」という場合に、授業についていけるように家庭教師をつけたとしても、「じゃあ、また学校に行こう」というようにはなりません。詳しくは本文でお伝えしますが、原因と思われるものは「きっかけ」にすぎず、本質的な原因は別にあるからです。

ですから私たちは、原因を追究しません。

子どもの「問題を解決する力」を引き出す

原因を追究しなくても、不登校は解決できます。

重要なのは子ども自身の「問題を乗り越える力」を引き出すことです。不登校は家族にとって深刻な問題ですが、一つのトラブルとして表面化したものにすぎないと考えることもできます。

表面的な問題を一時的に解決しても、これからもさまざまな壁にぶつかるはずです。どのようなトラブルでも乗り越える力をつけることこそが大事です。この力があれば、再登校にチャレンジすることだって当たり前になります。

登校する学生たち
写真=iStock.com/ferrantraite
※写真はイメージです