飲み会や接待文化の衰退も追い風

コロナ禍やライフスタイルの変化もあり、夜の飲み会や接待は減少傾向にある。ダラダラと2次会やカラオケなどにつながれば、パワハラ・セクハラなど不祥事の温床となるケースも多く、特に、自分の時間を大切にする若手社員を中心に敬遠されがちだ。

折からの人手不足もあり、バスや電車の減便や、終電時間の繰り上げが全国各地で起きており、都心では、かつては夜中1時近くまで電車があったが、いまは終電が早まり、首都圏でも11時台や10時台が終電や終バスという場合も珍しくなくなってきた。今やコンビニでさえ時短営業という時代だ。共同通信の調査によると、人手不足や夜間の需要の減少により、コンビニ主要6社で24時間営業をしていない時短店舗数が全体の1割超に当たる約6400店に上るという。

夜の接待・飲み会需要の減少→飲食店舗の売り上げ不振→バスや電車の終電繰り上げ→さらなる需要の減少、という負のスパイラルが続いているのだ。もはや、観光庁などが掲げ推進する「ナイトタイムエコノミー」は時代に逆行しているのかもしれない。

東京
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「朝7時からの資産運用相談」もニーズがあるのではないか

50代を過ぎた筆者の1日は、ここ最近は朝5時台には目が覚めてスタートする。筆者が20代30代の頃は、朝が苦手でいつも遅刻ギリギリでバタバタとオフィスに駆け込んだのが嘘のような生活だ。

早起きは三文の徳のとおり、早起きの効用は語るまでもない。

ところが早起きして午前中に仕事や用事を済ませてしまおうと思ってもうまくいかないことも多い。企業も店舗も基本「遅起き」だからだ。

例えば、メガバンクの店舗は9時から、銀座の百貨店は10時半から、お台場のショッピングモールに至っては11時開店だ。

「日本人は、朝が遅すぎる、逆に夜がグダグダ長すぎる」との声もある。海外の真似ばかりする必要はないが、朝の活用など、いい点はどんどん取り入れればいい。

人生100年時代。医学的な見地からもシニア層は特に総じて早起きのはずだ。

例えば、銀行や証券会社などが、資産運用や相続・事業承継などシニアや富裕層向けビジネスに本格的に取り組むのであれば、シニア顧客の生活リズムに合わせて開店時間を早めるのはどうだろうか。

新NISAブームで、せっかく立派な相談ブースを銀行や証券会社が設けても、その多くがガラガラなのは、終業後の夜7時からの相談業務ではなく、朝7時から相談業務を行うことで解消はしないだろうか。

シニア向けではなく、若年層や資産形成層のニーズも掘り起こせるはずだ。六本木ヒルズや丸の内などの朝活でキャリア形成や社会問題の勉強会をするように、銀行や証券会社のラウンジで朝7時からの資産運用相談はどうだろうか。

デジタル化により有人店舗の存在意義が問われるなか、朝時間を活用するのだ。