害虫駆除をめぐるトラブルが急増している。昨年度、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数は過去最多。夏に向けて活動が活発化するスズメバチの駆除で、「今すぐ駆除しなければ命が危ない」と、100万円を請求された人もいる。
「ウチにスズメバチの巣があるなんて」
東海地方に暮らす50代の女性は昨年秋、自宅の庭木に大きなスズメバチの巣がついているのを発見。大慌てで、ネットで駆除業者を探した。
「見積価格700円」で釣って100万円を要求
すると、「24時間365日対応」「最短10分で到着」「見積もり無料」という業者を見つけた。ネット上で簡易見積もりをすると、「参考見積価格約700円~」と表示された。電話で相談すると、「今すぐにそちらに向かう」とのこと。
やってきた業者は、スズメバチの巣を見るなり、「早く駆除したほうがいいです」。女性がためらっていると、「このままではハチに刺されて死ぬ」「近所の人が刺されて死ぬと裁判になって大変な費用がかかる」「今なら約150万円を約100万円にする」と、畳みかけた。
女性は不安にあらがえず、その場で契約書にサインした。作業内容には「サービス一式」とだけ記載されていた。駆除作業は数日間にわたって行われ、巣は確かに取り除かれた。
ところが、冷静に考えると、業者の話は変だった。100万円という金額も高すぎる。幸い、代金はまだ払っていなかったので、地元の消費生活センターに相談した。
業者のネット検索に要注意
国民生活センターによると、インターネットで見つけた業者に依頼し、トラブルに巻き込まれるケースは多い。業者の言うままに料金を支払ってしまったケースが大半だという。
近畿地方在住の70代男性も、自宅の庭でスズメバチの巣を見つけ、ネットで駆除業者を検索した。「追加料金一切なし」「料金は約600円から」と大きく表示されたサイトを発見。電話で駆除を依頼すると、自宅に業者がやってきた。