合計請求額は11万円

業者は現場を見て、「殺虫スプレーを使用するので3千円かかります」と言った。男性は「3千円くらいなら」と了承。だが、作業を始めると今度は「駆除剤として4万円」と、追加料金を要求してきた。話が違うと思ったが、駆除の途中で帰ってもらうわけにはいかないと、男性は渋々受け入れた。

ところが、それで終わりではなかった。作業後、手渡された請求書には「巣の除去費」などが加算され、合計請求額は約11万円。納得できなかったが、駆除は完了したので仕方ないと思い、料金を支払った。

まずは自治体の相談窓口へ

国民生活センターは、悪徳駆除業者にだまされないために、ネット検索に頼るのではなく、自治体の相談窓口か、害虫駆除の業界団体「公益社団法人 日本ペストコントロール協会」の窓口を利用してほしいという。同協会は全国47都道府県に地区協会を設けている。

東京都ペストコントロール協会の会長で、スズメバチの駆除を手掛ける「ヨシダ消毒」(練馬区)の清水一郎代表取締役は悪徳業者による被害の現状を嘆く。

「自宅など身近な場所でスズメバチの巣を見つけると、普通の人はパニックになってしまう。一刻も早く駆除したいが、どうすればいいのか、わからない。ネットで検索すると、怪しい業者に引っかかってしまうケースも多いんです」

駆除の相場は5万円前後

スズメバチの駆除料金は、業者によって異なるが、相場は5万円前後だという。前述のケースの「600円から」は、業界の常識では考えられない額だが、一般の人は目安を知らない。ネット広告を見比べても、まともな業者とそうでない業者の見分けがつかないのだ。

清水さんは「スズメバチだけでなく、ゴキブリやトコジラミなど、害虫で困ったら、まず自治体に相談してほしい」と訴える。

スズメバチの場合、無料で駆除を行ったり、駆除に補助金を出してくれたりする自治体がある。今の時期であれば、一般の人でも比較的簡単に駆除できるため、駆除用の防護服を貸し出してくれるところもある。自治体に相談すれば、保健所などを通じて最寄りのペストコントロール協会の窓口を教えてくれる。

「東京の協会の場合、住まいに近い会員業者を3つ紹介します。そこに電話して見積もりをとり、納得したうえで、駆除を依頼してください」