クイックレスポンスで信頼関係は作れる

本書の最初で、弊社の立ちあげに協力してくれたアメリカ人コーチのことをお話ししました。

彼に最初に弊社の社長がコンタクトを取ったときは、まだ本当にコーチングが事業として成り立つのかどうか不明瞭で、雲をつかむようなところがありました。日本に招くのもコストがかかることですから、リスクがあったわけです。

その彼とパートナーシップを組んでやってみようと思えたのは、何よりもメールに対する彼の返事がとても速いことでした。

コーチングや、事業の展開の仕方についてわからないことがあって、社長がメールを送ると、時差がある中でどうしてそんなにメールが速く返ってくるんだというくらい返事が速いのです。これを3、4回経験して、自分たちの中における彼に対する信頼はあっと言う間にできあがりました。

それからアメリカ人のコーチたちとのネットワークもずいぶんと広がり、彼らにメールを送ることがしばしばあります。そうするとたまに「今誰それは不在であり、いついつオフィスに帰るので、そうしたらメールを送ります」という文章が自動送信で流れてきたりします。

日本でもこれだけメールのやり取りが普及していながら(前記のベンチャー企業の社長さんほどではありませんが、私も1日200通近いメールを受け取ります)、「今いないからちょっと待っていて」というような自動送信書をもらったことがありません。

相手に対する承認と感謝の言葉を添えて

向こうが投げたボールに対して、そのボールをすぐに返す、というのは相手に対するアクノレッジメントとなります。逆にボールをいつまでも返さないでいると、その程度にしか自分のことを思っていないのだと思われかねません。

アメリカ人は言葉の上でもシステムの上でも、とてもアクノレッジメントが進んだ国です。アクノレッジメント先進国です。

それは、多種多様の人種、民族が集まっているために、お互いの間に起こる摩擦をできる限り軽減させたいという意識が、アクノレッジメントを進化させたのだと考えられます。

形式だけが進んでしまって、心がついていっていないという問題が昨今のアメリカの一部では見られる気がしますが、形式の部分でも良いところがあれば、私たちも取り入れて良いのではないでしょうか。

みなさんも、メールにはすぐに返信しているよと思っているかもしれませんが、問題は部下から来たメールに対してそれをしているかということです。

「えっ、もう返事が来たんだ」というようなスピードで。できれば相手に対する承認と感謝の言葉を添えて。相手が一瞬そのメールから視線をあげられなくなるような言葉を添えて。ぜひ試してみてください。